ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、古典文学など好きなものについて語るところ。

星組『シラノ・ド・ベルジュラック』感想

星組公演

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ミュージカル『シラノ・ド・ベルジュラック
脚本・演出/大野 拓史

今更な感じですが、とてもおもしろかったので、ライブ中継を見ながらとったメモをもとに、ざっくりした感想をば。
基本的に「みっきー!」としか言っていません。天寿光希の芝居が知っていたけれども、すばらしかった。相変わらず……。
ちなみに併せてこの映画をおすすめしておきます。

yukiko221b.hatenablog.com

登場早々からいかにも「悪い人」のオーラがぷんぷんのみっきー。
もちろんそれはお衣装もあるのだろうけれども、目つきというか視線というか。ねっとりした目線がね、もうすごーくわかりやすく悪い人。素敵。悪い人エンジン、全開。
画面にうつるみっきーが悪い人で、そしていちいち格好良い。好き。
最近だと『龍の宮物語』もばりばりの「悪い人」でしたね。

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単調すぎだという人もいるようですが、私はとにかく場面転換が少ないのがストレスなく見ることができて、良かったです。
大劇場はともかくとして、別箱で場転が多いのは割と集中力が切れてしまいがちだからダメなのよね、私……。
もともとフランスの喜劇で、全5幕、ほぼ原作通りに進み、ゆったりした感じがフランスの優雅さというかエスプリというか、それらが助長に感じる人もまあいるだろうけれども、私は概ね良かったかなという感想です。
1幕は劇場→菓子屋→バルコニー、2幕は戦場→修道院という見事にわかりやすい5幕ですな。
大道具も工夫が凝らされていて、1幕の終わりのバルコニーの場面で使った階段の向きをかえると、確かに違った場所であるように見えて、2幕では戦地として使われていました。絶妙だな。

いきなり主人公が出てくるのではなく、世界観や周りの状況の提示から始まるタイプのお芝居で、リニエール(朝水りょう)が「皮肉屋の小汚い詩人」として出てくるのですが、うまいなあ……見せ場が序盤しかないのがもったいないくらいです。
「小汚い」ってレベルが難しいですよね、特にタカラジェンヌはみんなきれいな人が多いからさ。

そしてヒロインのロクサーヌ(小桜ほのか)がこれまたすばらしくキュート。
ツイッターでもつぶやいたのですが、時折みゆちゃん(咲妃みゆ)に見えることがあって、「あ、芝居がうまいんだな」と思いました。
ガツンと体育会系の今の星組ですが、丁寧に芝居をつくる人も多いんだな、ということに改めて気がつかされます。
ほのちゃんに関して言えば、圧倒的なヒロイン力とでもいいましょうか、娘役芸といいましょうか、美しかったですね。
本当になぜ次の演目が『ロミオとジュリエット』なのだろう……あの娘役の出番が全然ないことで有名な……寂しい。

菓子屋のきわみくん(極美慎)は、菓子屋なのに踊り出す、踊りがキレキレ。菓子屋なのに……。
ラストの場面は15年後という設定だったと思いますが、お衣装は変わらず。
別は故ということもあり、お衣装にはそれほど時間や予算を割けなかったのでしょうか。
せめてもう1着くらいあってもよかったのでは?と思ってしまいました。まあほのちゃんも喪服入れて4着だから仕方が無いのか。
「パンをつくるしか能が無い」と言われてしまいますが、この「パンを作る能力」が2幕では活躍します。

最初は白いドレスがよく似合っているほのちゃん、全然しゃべらないのね……と思っていたら、2回目に出てきたときには、わりと早々歌い始めて、そしてうたうめえ!ってなった。常識ですね、はい。
シラノと菓子屋で会う場面でお召しになっていたピンクのドレスは『異人たちのルネサンス』でまどか(星風まどか)が着用していたものでしょうか。
ちょっとベロアっぽい感じのあのドレス、とても好きなので、またお目にかかれて嬉しかったです。
3回目に出てきたときはもういきなり歌っていたしな。ブルーのドレス、かわいいな。
真珠のイヤリング、ネックレスと、ブレスレットもよくお似合いでした。部屋に入って出てきたらアクセサリー変わっていてびっくりしたけどな。これぞ娘役魂。
2幕で羽織っていたマントは『1789』でちゃぴトワネットがフェルゼンと密会するときに着ていたものかな。派手。

音寧姉さんはロクサーヌの侍女ということでしたが、ちょっと滑稽な感じでしたね。
どういう役作りなのwと思いながらも、生真面目な感じが愛らしかったです。
ドレスは『ひかりふる路』でみちるちゃんが着ていたお衣装かな。

1から10まで悪い人、格好いい人であるみっきーは目をカッ!と見開いた様子が大変に印象的ですし、マントさばきが美しいですし、本当にため息が出てくるレベル。
「今日はお別れに言いに来た」とか、ほんとうに仕草がまるっと伊達男!
むしろロクサーヌはどうしてあの熱烈な投げキッスをうけても惚れないのだろう……なぞだぞ。
1幕終わりでは無事にクリスチャンと結婚式を挙げる。

2幕ではロクサーヌがただのエスプリ好きのお姫様であるだけではなく、愛する人のためなら危険もおかさないタイプのお姫様であることもわかる。格好良いな。
そしてクリスチャン瀬央にかなり力強い対応をします。ひざまずいていながら、絶対にクリスチャンの手を離さない。
熱烈に語っている手紙を書いたのがクリスチャンでないことを知らずに手紙のお礼を必死に言うロクサーヌ
ここでようやくクリスチャンはシラノの気持ちに気がつく。しかし気がついてすぐに彼は砲弾に倒れる。
原作ものということもあろうが、物語の構造としては無駄がなくて大変よろしい。

夫がなくなったということで、ロクサーヌ修道院へ。
14、5年経った後ということらしいですが、落ち着いたほのちゃんの演技がこれまたすばらしかった。舌を巻く。
俗世のあらゆるしがらみから解き放たれた今のロクサーヌは、ド・ギッシュ伯爵を許すほどの大きな心の持ち主。
「許す」ということに関して、とても器が大きいな、と。こういう女性が描けるのがすばらしい。
そしてロクサーヌが手紙の本当の主に気がついて、シラノの死をもってエンド。
「どうしてその尊い秘密を今になって明かそうと思ったのですか」という台詞が好き。「尊い秘密」っていいな。

理事(もう理事ではないけれどもw)は、やっぱり声がなー><
主演となると台詞も増えるし、今回なんて口から生まれてきたかのようnエスプリ上手な役ということもあって、苦しかったかな。
公演期間が短いのはむしろ幸いだったかと。声はかれていくものですから。

フィナーレのみっきーがまさかの金髪でなくてびっくりしました。
長髪だったということもありましょうが、おお!新鮮!と思いました。最近フィナーレやショーでは金髪が多かったですから。
『龍の宮物語』のときも、え、一体どこに隠していたの?その金髪!!みたいな反応をしてしまったくらいなので。
きわみくんがマジやんちゃなのは再認識したのですが、それにしても娘役が少ないな。
音寧姉さんがセンターなのは、まあそうなるだろうけれども、そうか『エル・アルコン』チームにそんなに娘役をとられていたのか……と唖然。
デュエットダンスのほのちゃんの白いドレス姿は女神でしたね。ちょっと物足りない感じはありましたが、美しかったです。

星組は音波みのり、有沙瞳の両名の活躍も応援したいところですが、今回はほのちゃんのこれからの活躍も同じくらい願っております!

余談ですが、雪組のトップコンビプレお披露目が『ヴェネチアの紋章』『ル・ポァゾン』に決まりましたね。
古き良き宝塚の再現への期待が高まります。咲ちゃんは『炎のボレロ』に続いて柴田作品ですが、似合いそう。
この夏に『ヴェネチアの紋章』を見返して、ちょうど花組のれいはなで見たいなと思っていたところでした。
ええ、はかない夢となりましたがね……。

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一方で朝美氏主演のバウ+東上も決定。東上は故郷に錦の御旗を立てることになりましょう。
しかし朝美主演のバウとかチケット争奪戦がこれまた激しそうですね。
きむしん先生は『アーネスト・イン・ラブ』『蘭陵王』はよかったのですが、個人的に『リッツホテル』で原作との解釈違いを起こしてからちょっと微妙なのですが、うまく行くといいですね。
お相手は誰がつとめるのでしょうか。個人的にはみちるちゃんかひまりちゃんがいいなあ。おとなしく発表を待ちます。

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