ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、古典文学など好きなものについて語るところ。

雪組『シルクロード~盗賊と宝石~』感想

雪組公演

kageki.hankyu.co.jp

ミュージカル・シンフォニア『f f f -フォルティッシッシモ-』~歓喜に歌え!~
作・演出/上田 久美子
レビュー・アラベスクシルクロード~盗賊と宝石~』
作・演出/生田 大和

お芝居の『fff』の感想はこちら。

yukiko221b.hatenablog.com


ものすごい反響をいただいて、ビックリしました。
でもこれが唯一絶対の解答ではありませんし、それこそ「ただ一つの正解」を求める行為は、完全に上田先生の術中にはまっているような気もいたしますので、あくまで一個人の感想だと思っていただければ幸いです。

一つ書き忘れた感想としては照明ですかね。
きぃちゃんにずっとブルーがあたり、人外であることを示す手法としてはありがちなのですが、「ブルー」ってまさに「悩み」「苦しみ」つまり「不幸」につながっているんですよね。
こんなにもありがちな手法なのに、すごい意味が込められている……と呆然としてしまった。
それからルイが難聴であることを示すユガミの表現も不気味だったなあ。
初日の舞台を見て、上田先生は真っ先に調光室に向かったらしいので、おそらく照明に関する何らかのダメ出しをしたのでしょう。
一体どんな話をしたのでしょうか。気になるところです。

あとは2階席からでも充分に楽しめる役者の配置になっているのがいいですね。
気になる下級生がいる人は上から見た方が、最初の楽隊の場面や最後の大団円は見やすいかもしれません。
私も花組はいからさんが通る』を7列目で観劇したとき、美羽愛ちゃんを上級生と重なって見つけるのが大変でしたが、2階席のときはすぐに見つけられました。
どこでもS席!と思えるのが大劇場のいいところですね。
もちろんこれはショーにも当てはまります。

さて、今回はショーの感想です。
前回の最後にも書きましたけどね、「宝石である真彩希帆を盗賊である望海風斗が追いかける」っていう筋書きがもう最高なんですよ。
ハズレなわけないんですよ、個人的にね。
「盗賊と宝石」の歌詞に「君の最後を俺が奪おう」とありますが、生田先生は「望海の最後」どころか「望海の最初」つまりお披露目公演だって担当しているんだから、「最後も」の方が正しいのでは?と思ったくらい。
生田先生の望海こじらせ具合は皆さんもご存じの通りですが、「どうして! 望海のショーを! 1回しか担当できないんだ!!!」という根強い響きが聞こえてきました。あれ、私だけか。真彩のお衣装に関しても「俺が着せたいお衣装、全部着せたったで!」という感じでしたね。ブルーダイヤモンドですが、お衣装がブルーだけでなく、赤、黒、白と彩り溢れていて良かったです。
どうでもいいですけど、生田先生は朝美もこじらせている疑惑があるので、ぜひ朝美主演の作演出も担当して欲しい。オリジナル作品で。頼む。見たい。

芝居仕立てのショーということで、そういうのが好きでない人もいますよね。
正確にいうと、歌と踊りの出し物の中でも、ストーリー性のあるものを「ショー」といい、一つずつ場面がわかれていて、全体としてゆるっとテーマがある程度のものを「レヴュー」というとか。
『BADDY』のときに何かで読んだ気がしますが、『シルクロード』も『BADDY』もその定義でいえば「ショー」ですよね。

お芝居も過去作品への壮大なリスペクトがありましたが、こちらも同じような気持ちが見え隠れしました。
第五章の中国が『BUND/NEON上海』はリスペクトというよりは、もはやオマージュですが、砂の演出や「黄金の奴隷」という役名は上田先生の『金色の砂漠』を思い出させますし、真彩が空中ブランコで出てくるところは「野口先生に教えてもらったの?」って思うし、第六章は「大介先生の宗教場面ですね!」と思うし、青い薔薇を受け渡すところは「明日海りお……」ってなる。
手錠でつながられたまま踊るところは「金の花」ですしね……。
配役でも、望海率いるスリが諏訪さき、彩海せらっていうのはさ、『ONCE』と『壬生義士伝』の新人公演主演をした二人ね……あとを継ぐのね……とか考えてもう涙がさ……うう。

シルクロードといっても世界を西へ東へという形になっているので、黒塗りのお化粧でなかったのも個人的にはよかったです。
多少いつもよりも暗めかな~という程度。
プログラムの生田先生の講演挨拶は、まさに二人のためのアイデアだったと心の底から思っているのがよくわかりました。
でももう少し簡潔にまとめてくれてもいいのよw
シーン別の説明も今回はショーの中では長い方でしたね。語りすぎ!
でもきっと説明せずにはいられないのでしょう。

こちらもお芝居ほどではないですが、よく盆が回るなと思いました。
盆はどちらか一方の回りだけでは不具合が生じやすくなるらしく、幕が降りているときに反対の向きに回すらしいという話を聞いたことがありますが、お芝居とショーの盆の回るムキってどうなんですかね。
これで右回転と左回転の帳尻がぴったり合うようだったら、それはそれですごい。

第一章、ストーリーの語り手であるキャラバンの登場。
翔くん(彩凪翔)の赤い髪にときめいた人が多いようでしたね。
あとキャラバンの女のはおりん(羽織夕夏)とありすちゃん(有栖妃華)、めっちゃ可愛いです。
砂のお役でもすぐに見つかるカレン副組長(千風カレン)とすみれ姉さん(愛すみれ)、ひまりちゃん(野々花ひまり)も素敵でした。
そして影ソロというか、声だけ先に登場するきぃちゃん(真彩希帆)。
お芝居もそんな感じでしたね、声が先に聞こえてくる。それだけの美声の持ち主。なんてったって「稀代の歌姫」。
盗賊がずらっと出てきても、すぐに見つかるのはあみちゃん(彩海せら)。すごい、どこにいても、端にいても、オペラグラスがぴたっと止まるんだ。
私のオペラグラスにはあみちゃんセンサーがついているかのよう。

ターバンの巻き方って難しいな、と思うのですよ。
だいもん(望海風斗)はターバンがお好きらしいですが、巻く位置がとっても難しいと思う衣装なんですよね。
上過ぎても下過ぎてもダメ。どれだけおでこが見えるか、眉との間隔のバランスはよいか。
『シャルム!』のときも下級生はターバンに慣れていないんだろうな、と思う生徒が何人かいました。
上級生見て! 自分見て! なんかちょっとおかしいと思いませんか?
もっとも今回ターバンを巻くのは男役だけでしたが。

きぃちゃん登場は空中ブランコに座って、ブルーのドレス。
降りるとものすごく後ろを引きずる長いドレス。『ONCE』の地上の天国のピンクのお衣装のよう。
その裾を肩に掛けてあげる翔くん。これ、最高。最高なんですよ。
何度見ても鼻血が出るかと思うレベルで好き。キャー><ってなる。
翔くんときぃちゃんのデュエットもよかったですよね~!
銀橋渡りは翔くん→あやなちゃん(綾凰華)・みちるちゃん(彩みちる)・あがち(縣千)→あーさ(朝美)・夢白→咲ちゃん(彩風咲奈)・ひらめちゃん(朝月希和)→きぃちゃんの順番だったかな。
とにかく「え、みちるちゃん、そこなんだ……」と思ってしまった(みちるちゃんの出番がショーのわりに少なくなってしまったような気もして淋しい……)。
夢白と反対でもよかったのではないかしらん……中詰ではあーさとみちるちゃんがシンメでしたが。
朝美主演の次のヒロインはみちるちゃんでは駄目なのかしら……。あう。

第二章はさききわコンビのプレプレお披露目。
「いつまでも一緒にいようね」というお手紙を咲ちゃんがひらめちゃんに書いたというお話。
これ、どこまで本当なんでしょう。
すごくドキドキします。
お衣装も素敵でした。ダンス映えするお衣装でしたね。ちょっと重そうでしたが、好みのお衣装でした。
すごく、イイ!!!
こういうクラシカルなお芝居や表現がすばらしい二人なんだから、この雰囲気を生かした作品を、オリジナル作品を作ってくださいね、劇団! 頼むよ! 本当に……。
本当こういうお衣装もよく似合うよね、ひまりちゃん。好き。

第三章のペルシャ
生田先生が朝美をこじらせている場面。
すごいよ、あーさ、だいもんのことを蹴り飛ばすし、きぃちゃんのことビンタするからね。
なんなの? 退団者に対して何させているの? 『ひかりふる路』でロベスピエールを後ろから抱きしめるサンジュストも相当強烈だったけれど、今回も相当インパクト強いですからね? すごいよ???
もうビックリしちゃったよ、私。
歌の技量とか男役としての立ち居振る舞いは本当にもうどこから見てもすばらしい男役になったと思うんですけど、その人にホント何させてんの……すごいね……。
褒めているのか、褒めていないのか、自分でもよくわからないのですが、とにかく作演出生田朝美主演作品が見たい。
千夜一夜のシェヘラザードというわりには、シャフリヤールに物語を聞かせる場面は一瞬で終わってしまったな、淋しい。
きぃちゃんと翔くんのデュエットソングはあったのだから、あーさともあっていいじゃない。欲張りかな、ダメかな。

娘役の宝石、目が足りないわ! どこ見ろってんだよ。
オペラグラス迷子だよ、とにかくみちるちゃんが可愛いよ。髪型、素敵ね! それにしてもあーさは娘役を侍らすのに定評がある。『ガトボニ』にもそんな場面ありましたしね……。
娘役で目が足りないのは「大世界」の場面でも同じなんですけど、チャイナ~!

第四章はインドでロケット。
『Ray』でもそうでしたが、ロケットちゃんたちが一度出てきたらそれで終わりではなく、もう一度出てくるというのがおもしろいですね。
クラシカルなロケットがお好きな人もいるでしょうけれども、時折こういうのがあるといいですね。
ここはインドの神様がたくさん出てきて大変だぞ〜!
プログラムには辛うじてあなやちゃん扮するスーリヤが太陽の神、あがち扮するチャンドラが月の神ということはわかりますが、それぞれとシンメになっているウシャス、ターラーは説明がありません。
星南のぞみ演じるウシャスはスーリヤの恋人、ないしは母。暁紅の女神。98期同期で素敵なシンメトリーです。
夢白あや演じるターラーはインド神話において創造神ともいわれるブリバスパティの妻。
ロケットのスカンダたちは軍神、シヴァ(朝美)とパールヴァイティー(彩)の子供。
それにしても夢白はもうロケット卒業したんですかね。『アクアヴィーテ』でも出てませんでした。103期生かあ……。

後から出てくるだいもんのヴィシュヌはヒンドゥー教の神。
翔くんのブラフマーとあーさのシヴァと3つの最高神
ちなみにヴィシュヌ派、シヴァ派において、それぞれは3つの神の中でもキング・オブ・最高神
シヴァの妻の一人はカーリー(笙乃茅桜)。血と殺戮の女神。
シヴァの別名であるナタラージャはカリ様(煌羽レオ)。舞踊の神。
さっきまであーさは「自分のために歌い、踊れ」と言っているシャフリヤールだったのにw
インドに限らないけれども、神話の世界はややこしいですね。

きぃちゃん演じるラクシュミーは美と富と豊穣と幸運の女神。欲張りすぎるだろ!詰め込みすぎだろ!というくらいですが、きぃちゃんだもよねー。
ヴィシュヌの妻であります。神々のレベルでも夫婦。最高だな。
ところどころ歌詞でもサンスクリット語が出てきているようですね。
もっとも私は「ワン・ツー・スリー」という翔くんの歌詞しかわからなかったけど。無学。

咲ちゃんのラーヴァナはブラフマーに認められてスゴツヨの特権を得たり、ヴィシュヌに助けてもらって転生したりする羅刹の王。
そのほか大勢の男役ガンダルヴァは、奏楽神団。
神々の宮廷で美しい音楽を奏でる仕事についている。ここでもまた音楽モチーフ! さすがだいきほ。
大勢の娘役アプサラスは水の精。宮廷内での接待係。ガンダルヴァの奏でる音楽に合わせて踊ることもあったのでしょう。
ヒンドゥーサンスクリットが入り交じっているのはいいのだろうか、よくわからないですが。
パズドラでよく出てくるので、詳しい人もいるかもしれません。
極彩色がめまぐるしい中詰でした。『カルーセル輪舞曲』を思い出した人も多いでしょう。

第五章の中国は言わずとしれた『BUND/NEON上海』のオマージュ。
すごい。すごいデジャブだった。もう既視感が半端なかった。すごい。格好いい。
あのチャイナが好きな人はたまらんだろうなあ。
私はお帽子は顔が見えにくくなるので、あんまり得意ではないのですが、カリ様はすぐにわかったわ……動きって大事……。
歌姫が出てくるともう大変。どこを見たらいいかわからない。
ひらめちゃんもひまりちゃんもみちるちゃんもいますからね。でもやっぱり歌姫を見てしまう。
だって後ろに控えているのもはおりんとありすちゃんだよ。豪華なコーラスだな、本当。

このきぃちゃんの曲を「真彩ラップ」と言う人もあるようですが、あれはただ早口なだけでラップとは違うかなと個人的には思っております。
ラップだったら歌詞は脚韻もしくは頭韻が必要になってきますから(私が聞き取っていないだけで韻を踏んでいるようだったらゴメンナサイ/この場面、歌詞どころの騒ぎではない興奮がやってくる)。
おそらく高校の漢詩の授業でやったはずですよ、忘れているかもしれませんが。洋曲なら今でもよくある。
私はJ-popなるものをまるで聞かないのでよくわからないのですが、最近の曲は韻を踏んでいないのかしらね。
曲そのものはオリジナルではないので(エレクトルスイングとしてはわりと有名なキャラバンパレスの「LoneDigger」)、版権が気になるところです。
これは差し替えたらいかんよ。
生田先生が観劇なさったとき、ここは身体がリズムにのっていたとか。差し替えたらあかんよ。
頼むから差し替えないでね。これがこのショーにおける2番目のお願いです。
三人のタンゴはさながら『あかねさす紫の花』の中国マフィア版といったところでしょうか。
ダンスは苦手といっているきぃちゃんですが、そんな風にはとても見えなかったです。すばらしい。

第六章。これはちょっと私は注文がありまして。
異素材の布を組み合わせてできた黒い軍服、ダブルボタン、赤い腕章、これはアウトなのはないでしょうか。
もちろん腕章は無地ではあるけれども、嫌でも思い出すものがある。
ナチスを礼賛している場面では当然ないし、むしろ悪の象徴として「争いのコロス」として描かれている。
かろうじて娘役は軍服でもないし、ダブルボタンでもないのだけれども、黒いドレスに赤い腕章。
けれども、タカラジェンヌがそれをやると「格好良く」見えてしまう。これが問題なのではないでしょうか。
だからせめて腕章の色だけでも変えて欲しい。
さききわの鳩が出てくることで改心したことを示すために腕章はとれるのですが、頼むから、この腕章はよくない。
銃を持って、隊列組んで、そろったダンスを見せられると全体主義めいたものを連想してしまう。
金とか銀とか白とか、とにかく腕章の色だけでいいから変えて欲しい。円盤化する前に。頼む。
これがこのショーにおける1番のお願いです。

それにしても平和の象徴の白い鳩は咲ちゃん、ひらめちゃんでここでもプレプレお披露目感。
いや、よく似合っていましたし、ダイナミックなダンスはとても素敵でしたけどね。
白いお衣装ということもあって、せっかちな私は結婚式か!と思いましたね。
早すぎるわ。まだ前任者退団してませんって感じです。
ここまでプレプレお披露目!という具合を前面に出されると、退団するときには添い遂げで!という人も現れそうです。
私は添い遂げを強要したくないタイプだからなんとも言えないですが、気持ちはわからないでもないとうっかり思ってしまった。

第七章フィナーレ。ホープダイヤモンドを連想させる青い薔薇をもって銀橋0番だいもん登場。
上級生娘役との場面。ちょっと時間が短すぎて、一人ひとりを見ている時間が短くなってしまうのが惜しい。
もうちょっと、もうちょっと、引き延ばしてくれてもいいのよ。
あとせっかくだから全員がだいもんと少しずつ絡んでくれていいのよ。せっかくなんだから……っ!><
そして郡舞で青い薔薇は咲ちゃんへと手渡される。「俺は星はいらない」といった『食聖』を思い出しますね。バトンたっち! あみちゃんが後ろの列とはいえ、ほぼセンターにいることにもビックリしました。ありがとう、ありがとう。
雪組のスターの思い、希望といったところでしょう。
デュエットダンス、プログラムには「共に旅をした、最良のパートナーと共に、男は踊る。」ってすごい。
もうこれだけで涙が出てくるレベル。花組時代のあれやこれやから思い出される。走馬灯のように。


銀橋の並びは、下手から朝美・真彩・望海・彩風・彩凪で、彩彩コンビで並んだのは、好きな人にはたまらなかったことでしょう。
銀橋渡りも上手は望海が率いてやってきて、下手は真彩が率いて並んで、トップコンビが先頭になるのもよかったし、挨拶順も「朝美・真彩」「望海・彩風」からの「真彩・望海」とトップコンビになって、とてもよかったです。
やっぱりこういう順番はお作法として大切だと思う。