ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、映画など好きなものについて語るところ。

月組『Rain on Neptune』感想

月組公演

kageki.hankyu.co.jp

ドラマティック・ショースペース『Rain on Neptune』
作・演出/谷貴矢

海ちゃん(海乃美月)のバースデー観劇となりました。ありがてえ!
しかし現地で海ちゃんのスチール写真だけが売り入れていた。納得いかねえ!
そしてタカヤ先生は早くショー作品でデビューしましょう。頼むでえ!

タカヤ先生と月組は『出島小宇宙戦争』『ダル・レークの恋』と続いて今作。全て出演している海ちゃんはタカヤのミューズに違いない!
舞台が舞浜ではあるけれども、コンサートで「みなさーん!」みたいになっているれいこちゃん(月城かなと)が想像しにくく(笑)、またせっかくれいうみコンビだから芝居が見たいと思ったタカヤの気持ちはわかるし、私もそうだけど、やはりちと芝居パートは見にくかったかな……私は一番端で観劇したときもあって、真ん中で向かい合って芝居されるときは、手前の人の後頭部に奥の人の顔が完全に重なってしまい、2人の会話なのに、2人とも表情が見えないというストレスがございました。これは集中力が途切れるから私は苦手なのです(>_<)

とはいえ、良かったところもあります。
デュエットダンスの際、れいこちゃんを見つめる海ちゃんの表情を真正面から拝むことができたり、海ちゃんを見つめるれいこちゃんの眼差しをこれまた真正面から受け止めることになりまして……いやはやあの端正で麗しい顔のとろけたる顔面の破壊力はなかなかでした。心のスケッチブックに一生残るし、墓場まで持っていく。本当、お似合いの相思相愛のカップルなのだなとつくづく思いました。マジでミラクル・ロマンス(あ)。

開演前にプログラムを読む時間がなかったので、1回目はノー知識で見たのですが(なんせツイッターでもショーの感想しか流れて来なかった)、ありがちな、短めのお話ですし、ひたすら美を浴びたという印象しか残りませんでした。
もちろん、シャトーの城、ネプチューンの海、アプリコの杏にはタカヤの愛を感じるし、氷と女王は「普通の人間の娘がヒロインではない」タカヤ節が炸裂していますし、映像も装置も衣装も良かった。良かったのだけど……マッドサイエンティスト(だよね?)がつくるのは、母娘に似せる必要はあったのか、と。
これ、完全に『999』(ショーの歌にもありましたが)とか『エヴァ』とかその系譜じゃないですか。
母ってそんなに神聖な存在ですか、ね……?
途中、トリオン王が陽気な碇ゲンドウにしか見えなくなってつらかった(陽気な碇ゲンドウとは?)。
ジェンヌにアニソン歌わせるにしてもヨシマサみたいにならない(え)あたりはさすがのタカヤなのに、なんちゃってSFだとそちら寄りになってしまうのか。毒素を含む雨が降る星、地球という設定はわりと面白かったと思うのですが、個人的に私はひたすら「家族」という単位に疑問と疑念しかない女なので、すいません、ちょっと引いたわ。
それから、すでに地球が荒廃していて、金もちは他の惑星に移り住んだということも、プログラムを読まないとわからなさそうだな、と。
海ちゃんの美しさはもちろんその分を取り返してはくれたのですが、でも私はそれだけでは満足できない面倒な人間なのよ、ごめんなさい。

ビジュアル公開時から、見たこともないようなれいこちゃんの銀髪?で、おでこがかなり見えるタイプの前髪(オールバックではないのだろうが、あれはなんと言うのだろう)で、眉もキリッと上向きで、こりゃ海ちゃんのビジュアルも期待できるぞ、と。あと主役がスペードという安易な発想でないのもいいぞ、と思っていました。
ベルメールの清楚なお嬢さんは言うまでもなく愛らしかったのですが、ネプチューンの冷たさといったら……!
わりと早くシャトーと意気投合してしまうので(時間の都合)、冷酷無慈悲みたいなネプチューンは本当に最初の方しか拝めないのですが、ビーズのマスクに人魚をイメージしたと思われるブルーのお衣装、そしてあのメイクは本当にすばらしかった。美の光線を浴びたって感じだった。

トリトン王に「ネプチューンに恋をしないこと」と言われて、「そっちはえらく簡単だな。会ったこともない人間にどうやって恋するんだ」みたいなことを言っておきながら、一瞬で恋に落ちるやん?
なんで見せた?と思わないでもないけど、まあこれも時間の都合かな。
マッドサイエンティスト(だよね?)のトリトンにしたって、石を擬人化するのと遺伝子操作するのとではだいぶ違う気もするけれども、まあ時間がないからね?
ネレイドとラリッサはトリトンと地球時代からの知り合いで、むしろマッドな部分の黒幕なの?とも思ってしまったり。
ラストも「俺たちの戦いはまだまだ続く!」と『ジャンプ』の打ち切り漫画のように終わってしまった気もします。
当初の予定とはだいぶ違うものになったということなので、急いで書き直したから仕方がないのかな?
オリジナル版でガッツリみたいよ、別箱でもいいからさ、アンハッピーでもいいからさ、と思ってしまったのでした。
苦言ばかり呈しているようですが、タカヤのこともっとできる!って思っているのは本当ですよ!!!

ザ⭐︎タカヤのヒロインを体現するもう1人はみちるちゃん(彩みちる)のクール。アンドロイドですって。デビュー作を思い出しますな。
何がいいって、女性がロケット?の操縦を担当しているところですよ。英かおと演じるトレフルも天才技師で、故障とかは彼が直すのかもしれませんが、女に機械を扱わせるという発想は、なかなかエンタメでは見ないからさ……いたらいたで「リケジョ」とか言われるしさ……そのあたりを回避しているのはさすがなんだよ!
思えば『元禄』でもキラが時計を作りますし、本当タカヤのそういうところは信頼できる。
なんとなく心が芽生えたところで終わるのも、もうちとなんか展開が欲しい気もしますが、まあ時間がなかったからね。
ところでみちるちゃん。また痩せましたか?
なんかちょっと心配です。彼女の持ち味であるダイナミックなダンスに影響がないといいのだけれども。

そして『ダル・レークの恋』に引き続き主人公の心象風景を表現するシャドーのお役のこありちゃん!(菜々野あり)良かったなあ、良かったよ!
ゲストトークでは「今回は宇宙が舞台ということで、シャトーの影の部分を重力を感じさせない踊りで表現しようと頑張りました」とな。ふぅー! すげーな! 無重力ダンスですってよ!
影の部分を娘役に担当させるというのも、ニクイな、タカヤ! 光と影なら、光が娘役で影が男役になりそうなところかな、と思いまして。
ショーでも「コンパス・オブ・ユア・ハート」で、みちるちゃんとシンメになったり、「コブラ」でからんちゃん(千海華蘭)と組んで踊ったり大活躍でしたね!

そらちゃん(美海そら)もトパーズ役では可愛い髪型しちゃって、さ……!
あれは両サイド三つ編みドーナッツになっているのかな。すごいキュートだった。
毎公演、後ろではいろいろ違うことをやっているのだろなということを感じさせました。これだから芝居の月組はやめられない。
ショーでも「銀河鉄道999」のときにセンター歌うとはちなつに寄り添って踊っていましたね。やだ、世界に発見されちゃう! みんな見て!
一列に並ぶときなんかは、学年の関係でこありちゃんと近くにいることも多く、サイド席だったときは目の前に来てくれることもあって良かったなあ。
でも反対を言うと、サイドは当然といえば当然ですが、本当に下級生ばかりで、もっと下級生を前に出したれや!とも思いました。
それが円形の強みでしょう。もっともショーパートが短かったからかもしれませんが。
もう少し下級生も小出しでいいかな。せっかく別箱ですし。

からんちゃんとやすちゃん(佳城葵)をシンメにしたことは天才でしたね。なんて安定感のある2人なのでしょう。すばらしかったです。
ショーパートでもついつい見てしまう男役さんたちです。
あと、男役といえばまおくん(蘭尚樹)ですよ!
少年シャトーの芝居のうまさよ
本当は主演の少年時代を演じるような学年でもないのでしょうけれども、いやはやうまかったねぇ。そしてベルメール海ちゃんとの組み合わせも良かったね。ベルメールへの執着もすごかったね。
『出島』でも少年カゲヤスでしたし、慣れているのはあるかもしれませんが、良かったなあ。
こちらもショーではつい見てしまいますし、こありちゃんと組んで踊っていたときは歓びに胸が震えましたね。ありがたい。

ショーパートのスタートはちなつ(鳳月杏)から。
さすがの貫禄。からのデュエットダンス。前述した通り、おなかいっぱ〜い! 幸せいっぱ〜い!
このブルーのお衣装も、とてもよいだな、これが……っ! たまんねー!!!
虹は『ロマ劇』にも出てきましたし、一つれいうみを象徴するものになりそうですな。
『ロマ劇』といい、今回といい、次の『ギャツビー』といい、海ちゃんの方がれいこちゃんより身分なり地位なりが高いのもおもしろい。れいこちゃん自身だって、あんなに美しいのに。端正な人に傅かれるヒロインが似合いすぎるのだよな、海ちゃん。

舞浜ですのでねずみの国の曲も。
正直私は「Under the Sea」しかわからなかったけれども、知名度の高い曲のメドレーよりも作品のコンセプトである「海」にちなんだ曲のメドレーの方がいいに決まっている。
海ちゃんの歌った曲は『モアナ』の曲らしいですが、よい曲でしたね。娘役が力強い感じもまたよい。だからタカヤは信頼できる。
あとここの海ちゃん、一回り大きくなったように思えた。いい意味で力が抜けたというか。

アニソンメドレーは「銀河」「宇宙」に関する曲で、こちらは先程とうって変わって全部わかるというオタク。
そしてみちるちゃんが歌う「乙女のポリシー」に合わせて海ちゃんが娘役をひきつれて踊る場面は最高に幸せで泣いた。
あんな可愛い「乙女のポリシー」あるかよ?!
そうだよ、「どんなピンチのときも絶対あきらめない」んだよ! それがセーラー戦士タカラジェンヌの共通点なんだよ!!!
「可憐な乙女のポリシー」だからな! 私も胸に刻むよ!!!
「いつかほんとに出会う大事な人のために」ってもう、海ちゃんは出会ったんだよね〜!と思ったら泣いた。号泣した。でもこれは涙の序曲だった。
最後の「ピッとりりしく」もキュートだよ、みちる。

かーらーの「ムーンライト伝説」。やばいね? あんな艶っぽい上に格好いい「ムーンライト伝説」今まであった? いや、なかったよ。
海ちゃんが歌うんじゃないんかい!!!
「ごめんね、すなおじゃなくて」って、れいこちゃんが歌うんかい!!!
タカヤ、天才か?!?!となりました。落ち着けなかった。情緒不安定だった。「乙女のポリシー」より泣いた。なんでだよ、コンサートだからマスクの替えなんか持ってきてないよ。
すなおじゃないの、知ってるよ。海ちゃんの誕生日プレゼントも本人に直接渡さずに化粧台前に置いたんでしょ?!
しかもさー海ちゃんとデュエットダンスしながら、れいこちゃんが歌うじゃん?
この海ちゃんがもう完全にプリンセス・セレニティね。月のお姫様ですよ!
そして途中から海ちゃんも歌うけど、バックダンサー男役全員集合じゃん?
ナニコレ? エンディミオンがつれてきた地球軍なの? 四天王がいたよね???
ちなつがクンツァイトで、からんちゃんがゾイサイト、るねぴ(夢奈瑠音)がジェダイトで、英かおとくんがネフライトってことでいいですか?
さちかねえさーん(白雪さち花)、クイン・デビル様やってー!
一番の問題は、れいこちゃんはあんまりエンディミオンっぽくないのよね。兵士というより王族っぽいのよね。それなんて『ダル・レークの恋』。
呼吸困難で死ぬと思うくらい泣いたわ。
「月の光は、愛のメッセージ」なのですね、わかります。

そこからのトークタイム。いやはやこのトークタイムがあって良かった。なかったら涙が落ち着くタイミングがなかった。
コンサートならではのこのトークタイムですが、お茶会が開かれない時期にこの時間は実はものすごく貴重なのではないか?と思いました。花組でもやらないかな。あわちゃんのトーク、聞きたい。
私が聞いた回は「れいこちゃんが子供の頃になりたかった夢3択問題」と「海ちゃんにプレゼントするバースデー妄想企画3題」だったのですが、前者、ちなつってこういうの、本当に強いよね……なんでわかったの……『ブリドリ』のゲームとかもちなつは強いイメージがあって、なかなか罰ゲームをさせられない(笑)。
後者はるねぴの妄想が完全に『セラムンS』の百合界のカリスマ天王はるか海王みちるでした。
海辺をオープンカーでデートってね、素敵ですよ。
からんちゃんがしたり顔で浴衣花火プランを提示するのもおもしろかったし(きっと「夏祭り」を再生するのは彼女)、こありちゃんが控えめに、でも一生懸命考えてきたプランを披露するのもかわいかったなあ。

お次は宝塚メドレー。ここからはあんまりコンセプトは関係なくなりますが、でも宝塚の曲をやらないとね!
そして最初はまさかの御庭番衆だよ! ここで蒼紫様に会えるとは夢にも思いませなんだ。心はすっかり操の気持ちでした。この曲が下記にあるような名曲と並べられるとは感慨深い。
またね、ダンサーもよかったのよ、四人。好みかと聞かれると難しいけれども、彩音星凪くん、やっぱり目をひくわ〜。
前後で人間が交替して、お次はちなつがセンターで大勢引き連れて『1789』「誰のために踊らされるか」。れいこちゃんとちなつがすれ違うときにアイコンタクトをとるのがたまらん。そしてこの曲、月組生みんな大好きだな。
『ミーマイ』や『ロミジュリ』はれいうみで見たいと思う作品ではないからこそ、楽曲を聴けたのは良かったかな。いや、曲はいいからさ、やっぱり。
そしてショーメドレー「ル・ポアゾン」「ヒート・ウエーブ」「アパショ」と続く。
「ル・ポアゾン」の海ちゃんの腰反り、すごかったなあ。『川霧の橋』の冒頭でも思ったのですが、どんな体幹しているのやら……。
いろいろな組で上演されていますが、やっぱり月組の曲だなと思ったのは、れいうみで『川霧の橋』を上演したからかもしれません。
「アパショ」は、たぶんれいこちゃんは出たことがないと思うのですが、れいこちゃんの代表作とはまた別の形で、こうして月組の作品として受け継がれていくのでしょう。しみじみ。これぞ、宝塚。

そんなわけで、初めにも言いましたけど、タカヤ先生は早くショーを作りましょう! ショー作家、足りてないし!
私は楽しみにしているよ! いい子で待ってるよ!