ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、古典文学など好きなものについて語るところ。

映画『ローラとふたりの兄』感想

映画

senlisfilms.jp

『ローラとふたりの兄』
監督/ジャン=ポール・ルーヴ
出演/リュディヴィーヌ・サニエ、ジョゼ・ガルシア、ジャン=ポール・ルーヴ

ちらしを見た瞬間、「あ、これはおもしろそうだな」と思いました。
日常に根付いた人間の、いってみれば「駄目な部分」を愛おしく描いている作品に違いないと確信しましたし、実際にそういう映画でした。
辛いこと、苦しいこと、しんどいこと、それらは大人になっても尽きないけれども、それでも人生は続いていく――そういうメッセージが感じられました。
嫌なことがあるとすぐに自暴自棄になったり、周りに頼ること、助けを求めることができなくて自殺してしまったりする人が日本には殊に多いらしいので(笑・作品の中にあったw)、私を含め、皆さんも気をつけましょう。
そしてこういう人間の欠点を愛おしく描く力って、とても大切なんじゃないかなと思いました。
完璧であるばかりがすばらしいことではないのだよ、ワトソンくん。

三人の兄妹の両親がいつ頃亡くなったのかはわかりませんが、三人で月に一度お墓参りをすることが習慣になっている。
どれだけ相手の顔を見たくないと思っていても、必ず三人で集まる。
妹のローラが、一番しっかり者で、なんなら兄二人の母親役であり、しょっちゅうケンカをしている二人の仲裁に入る。
この弁護士のローラが、仕事上で知り合った男性ゾエールと恋人同士になるといっきに垢抜けていく様が美しかった。
恋をすると女性はきれいになるっていうものね。
しかし兄二人は気がつかないし、それどころかローラの「恋人ができた。近いうちに同居する」という告白を聞いても、手放しに喜んだ第一声を放つことができない。なんやねん!

ローラは、ゾエールの離婚の手続きの上で知り合いますが、なぜゾエールが離婚したのか、その理由がいまいち明かされなかったので、この二人は大丈夫か? 続くのか? DVとかはないのね? ローラは幸せになれるのか?と始終緊張しましたが、引越のときに大量にあった本のタイトルから内容をあてるクイズをしているあたりから、大丈夫だな、と思えるようになりました。
読書家に悪い奴はいないとは思いませんが、フランスにいながらにして「ロシア文学は任せろ!」と言っちゃうような人は、まあ信頼しても大丈夫でしょう。あと次々に花を出してくるアレ、最高だった。私もいつかやってほしい。
もっともティラミスに指輪を入れるのはどうかと思ったけどね! 食べ物を粗末にしないでよ!><
私はシャンパンの中に指輪を入れるとかいう所業も、全くロマンスを感じない人間なので(グラスを洗い直したい)、それはまああれでしたけど、ローラが喜んでいたので、オールOKです。

長男のブノワは監督自ら演じている眼鏡士。ただの眼鏡屋という感じではなく、眼鏡を自ら作っているのでしょうか。
眼科医という感じはしませんでしたが、とにかく眼鏡を売る自分の店を持っており、作品の冒頭で3回目の結婚をする。
いかにも理系男子という感じで、思い込みは激しいし、視野は狭いし、他人の気持ちはわからないし、そのために新しい奥さんに子供ができたときも素直に喜ばないし、一体お前はなんなんだよ!って思ったけれども、まあそういう人もいるよねーと。できれば近づきたくはないのですが。
そんなブノワの悲しげな表情にうっとりする物好きな同僚のおばさんも、物語のいいスパイスになっていましたけどね!
結婚式も弟が来ないことを理由にたくさんの客を待たせる。いや、もう始めちゃえばいいじゃん。別に初めての結婚式ってわけじゃないんだからさwと私なんかは思ってしまうけれども、四角四面、堅物のブノワはそれを決して許さない。
どう考えても祝辞のスピーチを小粋に成功させることができない弟に、弟だからという理由だけで任せてしまう。
そして案の定失敗する。今までの2回はどうしていたんだwと聞きたくなるほど。
自営業ということも手伝ってか、子供を欲しがらず、前の奥さんが妊娠したときも中絶させたとか。
日本のように痛い中絶法しか採用していなかったら、かつての奥さんは大暴れしていたことでしょう。
これがフランスの話で良かったです。パリでないのも絶妙によい。

次男のピエールは離婚した妻との間に飛び級をするほど賢い息子がいる。この息子がまたよい!
よく気がつく子なんですよ……っ! 父の失業にもいち早く気がつくし、彼女の名前をとっさに「コンスタンス」から「ジュリエット」に変えるし。
おそらく恋人の本当の名前は、ピエールの別れた妻と同じ名前なのでしょう。
オリジナルで変な名前が流行っている日本とは異なり同じ名前が跋扈するヨーロッパならではの設定です。
ピエール自身は不器用で職人という感じ。勤続20年の解体業者の現場人。その中では偉い人ではあったけれども、会社から責任を押しつけられて「はした金」でクビにされてしまう。
解体人として一緒に働いていたお兄ちゃんはちょっと鬱陶しいくらいに明るい人ですが、最終的にはこの人が神に見える。
「全ての責任をあなたに押しつけて会社に嫌気がさして、自分も仕事を辞め、起業したんだ。また一緒に働こう」とな。
ピエールは最初、彼をあまり気に入っていなかったようですが、彼の方ではずっとピエールを仕事人として尊敬していたということでしょう。
新しく起こした会社は「解体」ではなく「建築」、何かを壊すより何かを作る方が楽しいということに気がついたそうな。
だから物語のラストでは、冒頭で解体したはずのビルが時間を巻き戻したかのように元に戻る幻想が映し出される。
ピエール自身の人生もまた「再生」に向かって歩み始める。希望が見えるラストでした。
不器用な彼がカフェで思わず泣いてしまう場面は、一緒に辛くなるのですが、このラストがあるから希望がもてる。

ゾエールが「7人の姉がいる」と言ったときには、ジェルジェ家かよ……とツッコミを入れましたが、これが存外はずれでもなく、一番下の妹を男として育てるようなぶっ飛んだことまではしなかったものの、自身は養子なのだとローラに伝える。これがどれだけ彼女の救いになったことだろうか。
35歳という若さにして子供が望めないことがわかったローラは、一度はゾエールから離れますが、ゾエールの大きな愛情と優しさに包まれて、再び二人で仲良く暮らします。
ラストでは遠い異国の子を養子として迎えたことが明らかになりますが、これも大変いい。
わざわざ養子だと言わずとも明らかに血がつながっていないと見た目でわかるような子をなぜ養子に迎えるのか、とブノワは文句を言っただろうし、そこまでは言わずとももっと無難な選択肢があるのではないかと胸中でピエールも思っていただろう。
けれども自身が養子であるゾエールと地方弁護士のローラの決断は、これなのだ。
身近な施設で見つけるのではなく、遠い異国の地で命の危険にさらされている子の命を救う。これがすごく良かった。

この国では生みの母親が自分のキャリアを諦めてまで、子を育てることが美徳とされている残念極まりない社会ですが、本来は「親がなくても子が充分に育つ社会」を実現していかなければならないと思っている。
「痛い思いをして産んだ子だから育てることができる」というのなら、男性は一切育児に参加する必要はなくなるし、実際にこの国はそれで推し進めていこうとしている。だって子作りで男が痛いめ、みるのか? みないだろ?
けれども、新しく命をつくらずとも、今ある命を大切にするために、養子縁組ってもっと使われてもいい制度なのではないかと。
それこそ同性婚とか認めるようになったら、この制度を使って育児をする家族が増えてもいいはずですし、物理的に妊娠が可能なカップルであっても選択肢の一つとして、もっとごく普通にあってもいい選択肢だと思う。もっとも同性婚がこの国で認められるようになるのはいつのことだろうね!と力一杯思いますが。
血のつながりとか同姓苗字の強要とか周りがギャーギャーうるさすぎるんだよ、この国。本当に辟易する。
いや、少子化が激しすぎて、新しい命をつむぐことも必要だとは思うんだけど、嫌な人は絶対嫌だろうし、私だって痛いのは嫌だ。なんで無痛分娩が通常じゃないのかわからない。
異常に気がつきにくいから、とかいう人もいますが、うるせぇ、こっちは命がけなんだよ、無痛分娩が普通の国に行って勉強してこいとしか思わない。
だからローラとゾエールの選択を私はめいっぱい祝福したわ。すばらしい決断だった。
幸せの形は人それぞれえええやんけ。誰もそれで傷つけていないのだから。

以前「不幸はさまざまな形をして現れるけれども、幸せは判を押したように一様だ」とどこかで聞いたことがありますが、もうそれ古いんじゃないの?と個人的には思っています。
だって、この作品だって若くて美しいサラも何を好き好んで今まで2回も離婚の経験のある無責任そうな男と結婚するのよって思うじゃない。
ピエールの息子のロミュだって、父親を見限った方がたぶん賢い彼は実力でのし上がって社会的な成功を収めることができそうじゃない。
墓場にいる老人だって、「生きているときは悪い女だった」と悪態をつきながら、必ず奥さんの墓にいるじゃない。
この作品にはものすごい人生の幸せとかパリで社会的な成功を収めるとか、そいういう輝かしいというかわかりやすい幸せではなくて、日常の中によくある小さな、それでいて多様な幸せが積み重ねられている。
不幸ももちろんあるけれども、それで人生は終わらない。ハッピーエンドでなくても人生は続いていく。作品自体はわりとハッピーエンドだったかもしれないけれども、この先の彼らの人生にはまたいざこざがつきものだろうし(笑)。
そういう意味では人生でつまずいたとき、血のつながりがあろうがなかろうが、助けてくれる人がいるのはありがたいことだと思いながら、旦那と一緒に見た映画でした。
新年早々ほっこりしました。

月組『今夜、ロマンス劇場で』『FULL SWING!』感想

月組公演

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ミュージカル・キネマ『今夜、ロマンス劇場で
原作/映画「今夜、ロマンス劇場で」(c)2018 フジテレビジョン ホリプロ 電通 KDDI
脚本・演出/小柳奈穂子

ジャズ・オマージュ『FULL SWING!』
作・演出/三木章雄

新年早々行って参りました。
もはや宝塚大劇場が私にとっての神社といっても過言ではないので、実質初詣です(笑)。
くすのきで幕の内も食べましたし(予約がとれてよかった!)、演目も明るくおめでたいというのにふさわしかったでしょう。
ただ、れいうみは『ダル・レークの恋』『桜嵐記』『川霧の橋』と濃厚な芝居が続いておりましたし、私自身もそういうのが好きなタイプなので、今回はちょっとライトめだったかなーという気はしています。
原作映画はどうやらどこかの動画サイトで松の内くらいまでは無料で見られるらしいですが、映画を見ないで観劇することを私は強くおすすめします。
私は夏くらいに1度映画を見てボロボロ泣き、年末に大掃除の傍ら流してボロボロ泣いたクチなので、たぶん映画に思い入れができてしまったのでしょう。
マチネの観劇は「良かった! 良かったけど、こんなもの、か……?」となってしまい、2回目は、「まあお披露目公演だしこれでよかった」という感じになりました。

小柳先生の演出はさすがで、映画でしか表現できないところをどうするのか、時間の都合もあるだろうし、映画とどう変えてくるのか、というのは楽しみでしたし、実際にセブンカラーズで娘役の出番を増やしてくれたり、美雪を追いかけて出てくる大蛇丸が大事なことを健司に伝えたり、願いが叶う論理としてディアナ様を創作したり、非常に演劇として見やすくなっていたと思います。
思いますが、なんというかそれは「今の小柳先生ならこれくらいはできるだろう」という範囲の話であって(何様だと言われても仕方が無いのですが……)、なんかもうちょっと飛躍したものというか想像を超えてくるものがあったら良かったのかなと思います。
でも、お披露目公演としてはとてもスッキリわかりやすくラブラブハッピーなので、それはそれでとてもいいことなんですよ……っ! 本当に!
だからあとは好みの問題かなという気もします。もっと大人っぽい二人が見たかったのでしょう。正直、私は映画の方が泣いちゃったくらいだし。

れいこ(月城かなと)は顔の美貌に押しやられて、あんまり気がつかれないのかもしれないですが、とにかく演技がうまくて、上に挙げた3作品も美貌+芝居で良かったなと思う場面がたくさんあるのですが、今回の牧野健司という役は、どちらかというと冴えない青年で、映画監督を夢見る、そして映画のお姫様に恋しちゃうような、改めて言葉にするとちょっとアブナイ系。けれども、それを芝居でそう感じさせなくて、観客席では、最後の盛り上がりにかけて、じわじわと右肩上がりにテンションが上がっていきました。
こういう地味な芝居というか、受け身のタイプの役こそ、芝居のうまさというのがにじみ出るもので、そういう意味ではれいこの演技のうまさが際立ったと思います。
すっとこどっこいな貸し切り公演の挨拶やうっかりオカリナを忘れてくる事件なんかも、まあ愛嬌ですね(笑)。
オカリナ、見つけたんじゃなかったんかーい! 小さすぎて見えないのかと思ったけど、違ったー!ってなりました。まあ、そういうこともある。
舞浜はショーということだけど、芝居要素もふんだんにありそうですし、今から楽しみです。
問題はチケットです。とれるのか……っ!? 超絶行きたいんですけど……っ!?

うみちゃん(海乃美月)は本当に輝いているお転婆姫で、れいこと一緒に真ん中にいることがこれくらいスッキリ納得できる娘役なんてそうそういないぜ!という感じで、とても良いです。
小柳先生が『歌劇』の座談会か、ネットのインタビューか何かで「娘役なんだけど、彼女の殺陣も期待」みたいなことをおっしゃっていたのですが、はい、とても良かったです。映像だけかと思ったら、ちゃんと芝居の中でもチャンバラしてました。楽しいな!
本多と一緒に撮影所にやって来たとき、健司と本多(本多役のるうさんとれいこの演技の相性が良すぎてビックリするレベル)が話している後ろであっかんべーしているうみちゃんも可愛いし、映像で大蛇丸に岩を投げつけようとしているうみちゃんもかわいいし、どの衣装も大変よく似合っているし、どこを切り取っても最高だよ、うみちゃんっ!とハンカチをぎゅっと握りしめちゃいますね。は~好き!
最初にモノクロ映像から、舞台に変わるときの演出も素敵だったけれども、最後に同じような演出にプラスして衣装に色がついたとき、あのチラシの白黒ドレスが月組カラーの黄色(黒の部分は緑)になったときの感動たるや……っ! すげぇ!
これは演出ももちろんすごいのだけど、れいうみという美貌のコンビの成せる業よ!と思ってみてました。すばらしい。
緑の衣装も紫の衣装も水玉のスカートもどれも可愛かった。ブログラムにあった赤と黒の衣装は舞台では使われなかったけれども、こちらもとても良かった。着せ替え人形だわ。

観劇中は、ただ美雪が健司のことを認めるのが早かったかなーとは思いました。
オカリナを見つけて「健司」と名前を呼ぶところですね。
一昔前に「ツンデレ」という言葉が流行りましたが、私は「デレ」は本当に最後の一瞬だけでいいタイプなので(めんどくさい)、おお、早いなと思ったのですが、プログラムを確認すると全部で16場のうち8場に相当するので、意外とそうでもないのかな?
最後も「王子がそう言うなら、ここにいてやるか!」みたいな台詞が銀橋でありますが、別に健司は王子でなくてもいいかなと思うのですよね。
ラストの舞踏会との整合性もあるのでしょうけれども、こここそ名前で良かったのでは?と。
きっと、ロマンス向きじゃないんだな、私(苦笑)。
ところでうみちゃんは「王女様」なのか「お姫様」なのか。作中では両方の呼び名がありましたが、そんなことが気になるのは私だけか。すいません。「お転婆姫」大好きです。

ちなつ(鳳月杏)の俊藤も最高でしたね。予想できたこととは言え、最高でしたね。
「おいらはニヒルな悪魔払い~♪」ってやばかったですね。出てくるだけで笑いがとれる。足を組むだけで笑いがとれる。というかいつも思うけれども、足が長すぎる。
こういう役って意外と宝塚では「普通」になりがちになってしまうので、どう料理するかとも思いましたが、さすがでした。
圧倒的な信頼感。そして圧倒的な昭和の香りを連れてきました。ふぅ~! 最高~!
2番手ということもあり、ラスト近くでは健司に対してちょっと説教めいたことをいう場面が長くなっていましたね。
映画でももともとありましたが、ここは宝塚ですからね。主人公の健司の背中を押すのが、ちなつの役で良かったと思っています。
ほら、昨今いろいろヒヤヒヤさせられるからさ……(花組の2番手羽根とか)。
できればチラシにあったように黒ストライプの白スーツも着て欲しかったような気もしますが、それはからんちゃん(千海華蘭)が社長として着ていたし、難しかったのかな。
あとは、銀橋を渡ってくれても良かったのよ~!>< なんならセブンカラーズを引き連れて!

ありちゃん(暁千星)の大蛇丸もいい感じにまとまっていました。
こちらは俊藤とは違う意味で、また出てきただけで笑いが起こるし、タンゴはすばらしかった。いや、本当にすばらしかった。
後ろの従者二人もおかしかった(褒めています)。ぱるくん(礼華はる)とじゅりちゃん(天紫珠李)ですね。
美雪のことが好きで映画から出てくるという話だったので「れいこ、うみ、ありちゃんの三角関係になるのか……それはちょっと……ちなつを差し置いて……」とかなり不穏に思っていたのですが、美雪のことが好きなわりに映画から飛び出してきても美雪に会わずに帰るし、恋敵である健司にきちんと代償の説明をしてあげるし、なんだ、すごくイイ奴じゃん!となりました。
もっとも大蛇丸は健司の部屋に来た時点で、健司を恋敵だと思っていない可能性はありますが。
気がつかないのもそれはそれで大蛇丸のキャラクターとしてはアリだと思います。なんせあの間抜けっぷりよっ!
ありちゃんはこれでまた新境地を開いたのかな? トップになるとこういう役がなかなかないので、今のうちにいろいろな役をやっておくといいですよね。
そして衣装は『龍の宮物語』の竜神のものだったかな? みっきー(天寿光希)にこんなところで会えるとは……(会ってません)。ただ、プログラムの写真にはやっぱり驚いちゃいましたね。
俊藤より小さいものの大蛇丸の写真もあり、スチール写真はちなつと同じ大きさの写真……これは穏やかでない。彼女の責任ではなく、これはもう劇団の責任に違いないですが。
ちなつをどうしてくれるんだ、劇団よ。私はちなつ×みちる(彩みちる)が見たいぞ。

そしてゆの(風間柚乃)。見る度にスターオーラが大きくなっていくのが目に見えてわかりますね。
今回はなんせバウ主演のあとですから、余計に。
山中の役は、配役発表の前はありちゃんだと思っていたのですがゆのだとわかって、驚愕。
これじゃ、健司は脚本で勝てないのでは……? だって、ゆの、めっちゃおもしろいコメディとか書けそうやん!とかなんとか思っていたのですが、いい味を出していました。
ショーで、ゆの、やす(佳城葵)、からんちゃん、さち花姉さん(白雪さち花)、あきちゃん(晴音アキ)の5人が銀橋に残ったとき、このメンバーで大喜利をやったら最高に楽しいのでは?と思った記憶があります。いや、やるべきでしょ……!
期せずして、やたらとコメディ要素の強い5人で中詰銀橋を拝みました。
芝居では、たらいを持って下手にはけていく場面で、たらいを被っていましたが、被るの好きなのかね……?
『ピガール』のときも、バケツをかぶっていましたよね……?と思いました。かわいい。
原作にはありませんが、塔子さんとお幸せに!と言いたくなるようなラストも、いかにも宝塚的ですが、それでいいのでしょう。

塔子さんはもうこの人しかいなかったわ! みちるちゃん! 雪組からの組替えで忙しかったと思いますが、すばらしかったですわ! こういう役をやらせたらマジで天下一品だな。嬉しい。
れいうみコンビが好きだから、この二人がトップになったことはとても嬉しかったけれども、その後にみちるちゃんの組替えが発表されて、そんな『星逢一夜』の新人公演のコンビやん……れいみち……と思ったし、今でも思っているけれども、みちるちゃんはしっかり者でえらいわ。ちゃんと塔子さんでした。
映画では京映の事務所に彼女の机がありましたし、電話もとっていましたから、京映に勤めていることがわかりやすかったですが、芝居だとちょっとそこがわかりにくかったかな、とも思いますが、それは演出の問題であって、みちるちゃんの問題ではなく、みちるちゃんは与えられた範囲でとてもよく芝居をしていました。
それだけにうみちゃんとの場面は辛い……っ!
あのあとふざけた三銃士(褒めてます)が出てきて笑わせてくれなかったら、やってられない場面だよ、あれ……つらぁ……。
私は『CH』の冴子みたいな役よりも今回の塔子みたいな品のあるお嬢様の役の方がみちるちゃんは好きだなあ。
お転婆姫がぴったりだったうみちゃんと持ち味が違うからこそ、これからも何卒、みちるちゃんもよろしく頼むよ、活かしてくれよ! 劇団!><

セブンカラーズはいかにも小柳先生!という感じですが、素敵でした。こういうの、絶対に必要でした。
センター黄緑のかれんちゃん(結愛かれん)がまだ新人公演世代なんて考えられないよ……ビックリだよ……と思いましたし、もしみちるちゃんが組替えしてこなかったら、塔子さんはぜひ彼女に演じていただきたかったと思っているほど。
セブンカラーズは目が忙しくて、なんせ濃い青(藍色)担当のらんぜちゃん(蘭世惠翔)、橙担当のこありちゃん(菜々野あり)もおりますし、らんぜちゃんとこありちゃんはかれんちゃんを挟んで反対側におりますので、どこ見たらええっちゅうねん!って感じです。はぁ、可愛い。
セブンカラーズが最初に出てくる場面には、結髪さんとしてそらちゃん(美海そら)も出てきておりますので、もう目が足りないのなんのって。
基本的に娘役大好きなので、このあたりだけでもかなり忙しいのですが、月組はるねぴ(夢奈瑠音)、れんこん(蓮つかさ)、ぎりぎり(朝霧真)、まおくん(蘭尚樹)あたりも出てきたらつい目が行ってしまうので、本当に大変。真ん中が豪勢なだけではない!と思えるのが今の月組なんですよね。それだけに、彼女らにももっと出番を!と思ってしまったのが、今回も芝居でした。

三獣士はれんこん、英かおと、柊木絢斗の三人。
苦労人の狸吉、けんかっ早くて問題児の寅衛門、喋れない鳩三郎とおもしろいトリオでした。
現実世界に飛び出してきても鳩三郎は喋れないんかい!と思わずツッコミを入れてしまいましたね。あれは反則w
しかし大蛇丸はこの中では一番鳩三郎が苦手のようなので、本当にいい役でした。
確かに鳩が苦手な人っていますよね、現実世界にも。

このトリオといい、大蛇丸といい、美雪といい、こちらの世界に来る代償が「人のぬくもりに触れられない」という、なんというかわかったような、わからんような設定なのですが、映画のときもこれはひっかかっていて、結局芝居でもひっかかりがとれなかったです。
「人に触れられない」ではなくて「人の『ぬくもり』に触れられない」って何なんでしょうね、結局、みたいな冷めた人間なんですよ。
例えば「一番好きな人に触れられない」というのなら、まだわかるかもしれません。
けれども、美雪にいたってはここから数十年こちらの世界で暮らすことになるわけで、そんな誰にも触らないで生きていくことなんて現実問題として無理だろうと思ってしまう。
最後の最後に美雪は健司の手に触れて「あたたかい」と言いますが、そんな死にそうな老人(失礼)の手が本当に温かいのか?とも思ってしまう。いや、温度的な意味のぬくもりではないことはわかっているんだけどさ。
なーんかいまいちスッキリしないのよねーと思うと、やっぱりロマンス向きじゃないんだな。
あの指輪を渡す銀橋の場面だって、うっかり指が触れることもあるんじゃないの?とうがった目で見てしまう。
美雪が年をとらないことについて、京映でかつて一緒に仕事していた人はどう思っているんだろう、と考えてしまう。
ついでに言うなら、映画のときも思ったけれども、京映倒産後ロマンス劇場の運営で生計を立てている健司が、そんな可愛い緑のワンピースを買ってあげられるのか、とか思ってしまう(映画では二人デ暮らしている家も映りましたが、なんていうか貧乏そうではなくて驚いたんだよね……)。
物語の核心に触れる部分が納得できなくても泣いてしまった映画とマスクの替えが必要になるくらいまでは泣かなかった芝居とで、やっぱり受け取るものとして私の中で何かが違ったのでしょう。
だから個人的なポイントがすごい高いわけではないけれども、大劇場お披露目公演としてはなかなか良かったのではないかなと思える作品だという感じです。上から目線ですいません。
思い切り真ん中二人を見るための芝居ですから、前の方の席で一度くらいは見たかったなと思います。
今後の席もセンター席ではあるのですが、結構後ろばかりなのが無念。

さて、お次はショー。芝居は素人向きでしたが、こちらは玄人向けかなという感じです。
ショーではちなみちの場面を期待していただけに、辛かった。
ちなつのジゴロの場面、あきちゃんは生き生きとしていて良かったし、マネージャーの部分はいかにもあきちゃん!という感じだったけれども、ここはみちるではダメだったのか?とか、『SV』のだいもん(望海風斗)、しょうちゃん(彩凪翔)、娘役あーさ(朝美絢)を連想させるような「ミッドナイトイン巴里」でもファムAはみちるちゃんじゃダメだったのか?とか思っちゃって大変でした。
しかしレモンイエローという月組カラーのドレスで銀橋を一人で歌いながら渡るみちるちゃんは最高に可愛かったし、歌も上手くなっていた。「猫の落書きみたいな~♪」「なんて辛い毎日~♪」超キュートだな。良かった。ちなつとみちるで何卒何らかの別箱を頼みますよ、劇団さん。
みちるちゃんよ……っ!(なんだ)(応援しています!)

ジャズといえば裏拍、だと思っているのですが、これがまたしんどそうですね。
貸切公演なんかだともう目も当てられないという……下手に手拍子するくらいならオペラを覗いていた方がいいかもしれません。
もっともプロローグでは最初の総踊りで手拍子が入ってしまうので、下級生を確認する時間があんまりないのが痛いところです。
そんなわけでソワレ公演は2回目の総踊りになってから手拍子をすることにしました。
パレードでも手拍子は難しそうでしたね。とほほ。星組ファンからレクチャーを受けた方がいいかな。
スカステでもこういう曲のときは裏拍!みたいな番組があるとおもしろいかもしれません。
お披露目公演のショーでプロローグの後、トップコンビが銀橋に残るのは『Ray』でもありましたが、やっぱりいいですねー!
二人の特別な公演という感じがマシマシになって、私はとても好きです。

キンキラ女神は一瞬だったじゅりちゃん、早着替えで次のジゴロの場面ではビューティーズとして最初から出ています。
結構着替えが大変そうだな!?と思う場面は結構あって、芝居でも最初のところは看護師で出てきたけれども、次はもう大蛇丸の従者として出てきていたから、驚きました。
「超人気ジゴロ」にどうして「マネージャー」がついているのかはよくわかりませんでしたが(笑)、もうちなつの足の長さを見ればそれでヨシ!となります。現場猫のようです。
からんちゃんとみちるちゃんが踊っているのですが、芝居で親子の二人が踊っているのは感慨深かったし、身長は同じくらいでした(笑)。
みちるちゃん、ガンガン踊るやーん! 素敵! そしてその反対側で同じようにガンガン踊るかれんちゃん。
こありちゃんもそらちゃんもいるし、目が足りないっての! 人数出し過ぎのような気もしますが、これくらいないと華やかさに欠けるのだろうなという気もするから難しいところ。
あとここの記者を演じている副組長(夏月都)がとてもキュート。すごい副組長なのにキュートなんだよ……っ!

ジャンゴの最初の場面は蝶からでしたが、娘役二人が担うはずだったらしい蝶は小道具に変わり、席が遠いとなんなのかちょっとわかりにくくなってしまったのが残念ですが、どうしたのでしょう。
そしてこの場面でもみちるちゃん、かれんちゃん、らんぜちゃん、こありちゃんと娘役が忙しい。
るうさん(光月るう)がマスターのカフェだから流行るのはわかるけどね! 目が足りないわい!
もちろん真ん中のれいうみも見たいところ。
恋人のうみちゃんよりも先にるうさんがれいこジャンゴを見つけるのは、おもしろいw
けれども、すぐにマスターは恋人からギターを預かって、恋人がすぐにジャンゴのもとに飛び込めるようにしてあげるの、とても優しい。さすがるうさん。
楽しく踊った後に、また死の象徴である白い蝶が現れて、ふらりとそちらへ向かってしまいそうになるれいこジャンゴを恋人のうみちゃんが必死で引き留める、うう……! こんな芝居も見てみたいぜ!

中詰のお衣装の色味がとても好きで、本当に見ていて飽きなかった。
でも中詰だからみんな出てくるし、本当にもうどこを見たらいいのかわからなくて、しまいにはオフオペラでスターを確認してからオペラを見る有様だった。これがコンタクトの威力よ、すばらしい。
マスクをしていると、オペラが曇りやすいのも難点ですが。
中詰の最後はみんなの顔が見えるように、舞台後方には階段があったし、袖にもけっこう人がいたし、ああやってジェンヌたちの顔がしっかり見える場面をつくるのはさすが三木先生。ありがたい。

「ミッドナイトイン巴里」は本当に誰もビンタされないし、メイン3人は誰も死なないし(売人が最初に撃たれてはいる)、前回に引き続き治安がいいですね。『SV』で治安が悪かったのはやはりだいもんの成せる業なのか。
結局うみちゃんジャンヌがちなつマックスのもとに戻るのも、フー!となりました。マックスなのに娘役をビンタしないなんて……と『ワンス』を思い出すなどした。あれもあーさが叩かれていましたね。
れいこモーリスは悔しさを自分で消化しようとして踊り狂っておりました。
あれ、ジャンヌがマックスのもとに戻らなかったらマックスに撃たれているだろうし、マックスのもとに戻ったら戻ったでモーリスに撃たれていてもおかしくないんですよね。
れいこモーリスは知的でえらいぞ。
ただプログラムの「噴水がキラメク!」はどうかと思ったよ、三木先生……。
ここのじゅりちゃんのところはみちるちゃんではダメだったのか、と思っていたら、次の銀橋渡りはじゅりちゃんの方が先だったので、やっぱりみちるちゃんにしようよ、と思いました。
じゅりちゃん、さっきから着替えが大変すぎるだろう!?

グランドフィナーレの「S23A」では、プラグラムを見るとみちるちゃんとじゅりちゃんが出てくる予定になっていますが、出てこず、デュエットダンスをするうみちゃんと一緒に3人娘で出てきます。
そういう演出はあっても、もちろんいいのだけれども、せっかくのお披露目公演のデュエットダンスなんだかられいうみに集中させてくれよ、れいみちが踊っているの見ると、ちょっとしんどくなるやん……って思いましたよ。
思い切り大人っぽい優雅なデュエットダンスが見たかったんだが、それは次に期待することにします。
銀橋で背中合わせのラストは格好良かったですけどね! 相棒!パートナー!って感じがたまりませんでした。
それにしても同じ作画よ、美しい……。

レッドフレアはあきちゃんのシンメでおはねちゃん(きよら羽龍)。
芝居から目立った役が多いですが、私はあんまり好みではないことも手伝ってか、ここのシンメはさち花ねえさんでも良かったのでは?と思ってしまいました。すいません。 でも、彼女も化粧がすごくうまくなってきたなと感じています。
下級生の成長スピードはすさまじいから、写真も毎公演取り直してあげればいいのに……。そしてあきちゃんとさち花姉さんのパンツスタイルは最高に格好良かった。クール!
シンメといえば、パレードのこありちゃんとそらちゃんのシンメは超キュートでした! 目福です。
エトワールは、基本的にちゃんと一人と決めて歌わせてあげた方がいいと思うよ。
『BADDY』みたいな作品の方が例外だと思っているんだけど、前回の花組しかり、劇団側はエトワールを一体なんだと思っているのだろう。
少なくとも私としては、すごく大事な役目だから衣装も替えて欲しいし、自分一人にスポットライトが当たるという経験を積ませることはとても重要だと思っているのですが。
何かをごまかされているような気分になるので、ああいうのはあんまり好まないかな……。

月組ですから、芝居にはますます磨きがかかっていくでしょう。
ショーの拍手はどうかな、良くなっていくことを祈ります。
今日も休演者が発表されて心配ですが、まずは大劇場千秋楽まで、無事に公演できることを祈っています!

2021年観劇振り返り

以下、今年観劇した芝居のタイトルを列挙します。
ライブ配信もカウントし、各観劇回数は省略します(ざっと数えたら宝塚生観劇は50くらいでした)。
まずは宝塚歌劇団の記録から。

月組 珠城りょう 3Days Special LIVE『Eternità』(構成・演出/三木章雄)
花組 バウ・ミュージカル『PRINCE OF ROSES-王冠に導かれし男-』(作・演出/竹田悠一郎)
花組 ロードウェイ・ミュージカル『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』(潤色・演出/原田諒)
宙組 三井住友カード ミュージカル『アナスタシア』(潤色・演出/稲葉太地)
月組 グランド・ミュージカル『ダル・レークの恋』(作/菊田一夫、監修/酒井澄夫、潤色・演出/谷貴矢)
雪組 かんぽ生命 ドリームシアター ミュージカル・シンフォニア『f f f -フォルティッシッシモ-』~歓喜に歌え!~(作・演出/上田久美子)、かんぽ生命 ドリームシアター レビュー・アラベスクシルクロード~盗賊と宝石~』(作・演出/生田大和)
宙組 大正浪漫抒情劇『夢千鳥』(作・演出/栗田優香)
宙組 Musical『Hotel Svizra House ホテル スヴィッツラ ハウス』(作・演出/植田景子)
星組 三井住友VISAカード ミュージカル『ロミオとジュリエット』(原作/ウィリアム・シェイクスピア、作/ジェラール・プレスギュルヴィック、潤色・演出/小池修一郎、演出/稲葉太地)
雪組 ミュージカル・ロマン『ヴェネチアの紋章』(原作/塩野七生『小説イタリア・ルネサンス1 ヴェネツィア』(新潮文庫刊)、脚本/柴田侑宏、演出/謝珠栄)、ロマンチック・レビュー『ル・ポァゾン 愛の媚薬 -Again-』(作・演出/岡田敬二)
雪組 ロマンス『ほんものの魔法使』(原作/ポール・ギャリコ 脚本・演出/木村信司
花組 ドラマ・ヒストリ『アウグストゥス-尊厳ある者-』(作・演出/田渕大輔)、パッショネイト・ファンタジー『Cool Beast!!』(作・演出/藤井大介)
星組 REY’S Special Show Time『VERDAD(ヴェルダッド)!!』—真実の音—(作・演出/藤井大介)
星組 ミュージカル・ロマン『マノン』(原作/アベ・プレヴォー、脚本・演出/中村暁)
月組 ロマン・トラジック『桜嵐記(おうらんき)』(作・演出/上田久美子)、スーパー・ファンタジー『Dream Chaser』(作・演出/中村暁)
花組 ミュージカル・ロマン『哀しみのコルドバ』(作/柴田侑宏、演出/樫畑亜依子)、パッショネイト・ファンタジー『Cool Beast!!』(作・演出/藤井大介)
宙組 Musical『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』~サー・アーサー・コナン・ドイルの著したキャラクターに拠る~(作・演出/生田大和)、タカラヅカ・スペクタキュラー『Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-』(作・演出/野口幸作)
月組 江戸切絵『川霧の橋』-山本周五郎作「柳橋物語」「ひとでなし」より-(原作/山本周五郎、脚本/柴田侑宏、演出/小柳奈穂子)、スーパー・ファンタジー『Dream Chaser -新たな夢へ-』(作・演出/中村暁)
雪組 ミュージカル『CITY HUNTER』-盗まれたXYZ-(原作/北条司シティーハンター」(C)北条 司/コアミックス 1985、脚本・演出/齋藤吉正)、ショー オルケスタ『Fire Fever!』(作・演出/稲葉太地)
宙組 ブロードウェイ・ミュージカル『プロミセス、プロミセス』(翻訳・演出/原田諒)
星組 宝塚剣豪秘録『柳生忍法帖』(原作/山田風太郎柳生忍法帖」(KADOKAWA 角川文庫刊)、脚本・演出/大野拓史)、ロマンチック・レビュー『モアー・ダンディズム!』(作・演出/岡田敬二)
花組 三井住友VISAカード シアター忠臣蔵ファンタジー『元禄バロックロック』(作・演出/谷貴矢)、三井住友VISAカード シアターレビュー・アニバーサリー『The Fascination(ザ ファシネイション)!』-花組誕生100周年 そして未来へ-(作・演出/中村一徳)

反対に見られなかったのは、月組『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』、星組婆娑羅の玄孫』、花組『銀ちゃんの恋』、月組『LOVE AND ALL THAT JAZZ』、宙組『バロンの末裔』『アクアヴィーテ』の4本ですから、ライブ配信のありがたみを感じずにはいられません。ありがとうございます、劇団。新人公演もライブ配信するようになり、劇団にも新しい風が吹いていることを感じます。
なんといっても今年は女性演出家の躍進がめざましかったように思います。『fff』『桜嵐記』(うえくみ)『夢千鳥』(栗田センセ)『Hotel Svizra House』(けーこ先生)といったオリジナル作品も、『川霧の橋』(小柳センセ)の演出も、全て女性が手がけておりました。すばらしい。
その中で『ダル・レークの恋』の演出を手がけ、『元禄バロックロック』を作り上げた谷タカヤ先生は男性演出家の中では群を抜いてすばらしかったし、他の男性にも見習って欲しいくらいです。
今年のお気に入り5本は見た順番に『fff』『ダル・レークの恋』『夢千鳥』『桜嵐記』『元禄バロックロック』ですかね。本当に谷先生の着眼点が鋭いことを物語っているランキングです。

今年は雪組花組バウホール公演は奇跡的に生で観劇することが叶いましたし、なんといっても人生初の新人公演観劇というのも大きかったです。花組の熱いパワーを感じました。
これからもあわちゃん(美羽愛)を応援していこうと決意を固くしました。
チケットがなくなってしまった公演もありましたが、これがとにかく大きな収穫です。
それから地元に2回も来てくれたのがありがたかったです。やはり地元だと観劇回数も変わるし、交通費や時間の問題もだいぶ解消されて楽でした。
どうでもいいですが、昨今のニュースを聞くにつけ、あんまりJRにお金を落としたくないのですが、それ以外に選択肢がないがないのが辛いところ。韓国語表記がないとか、雪の中乗客をほっぽり出して車内泊を認めなかったとか。嫌な世の中です。

宝塚以外の外部公演の観劇は以下の通り。

ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』(原作/萩尾望都ポーの一族』(小学館「フラワーコミックス」刊)、脚本・演出/小池修一郎宝塚歌劇団))
ミュージカル『パーレド』(作/アルフレッド・ウーリー、演出/森新太郎)
ミュージカル『MA』(脚本・歌詞/ミヒャエル・クンツェ、演出/ロバート・ヨハンソン)
『CLUB SEVENⅢ』(脚本・構成・演出・振付・出演/玉野和紀)
ミュージカル『スリル・ミー』(原作・脚本・音楽/Stephen Dolginoff、演出/栗山民也)
『森フォレ』(作/ワジディ・ムワワド、演出/上村聡史)
ジュリアス・シーザー』(作/ウィリアム・シェイクスピア、演出/森新太郎)

配信では『エリザベートTAKARAZUKA25周年記念スペシャル・ガラ・コンサート』、シスカンパニーの『友達』も鑑賞しました。後者はなかなか刺激的でした。『パレード』的な意味で(つまりメンタルが安定しているときでないと見られない)。
森新太郎は個人的にあたりとはずれが大きいかなと思いますが、あたると楽しい。『森フォレ』、めちゃめちゃに楽しかったもの!
宝塚に比べて、外部公演は作品で選んでいるところがたぶんにありますので、比較的におもしろい作品が多いのですが、その中でも『森フォレ』は頭一つ飛び抜けてすばらしかったです。

今年は観劇にもお金を使いましたが、美容にもかなり諭吉を溶かしている自覚はあって、しかしそれは来年も続きそうです。
生来我慢という言葉を知らない小娘なものですから……来年の4月からはもう絶対に表の仕事は減らそうと思っているし、裏の仕事の実績も積み重ねていきたいし、プライベートも楽しみたい。
人生欲張りプランで生きているんですよ、私(平たく言うとワガママw)。
引き続きなんとかなるさ精神で、「強く可愛くおもしろく」生きていきたいと思います!えっへん!

年を越すとこのブログもまるっと2年。
ありがたいことに記事の数よりいただいたスターの数(はてなブログの仕様)の方が多くて、読んでいただけることに感謝しかありません。本当にありがとうございます。
来年はもう少しマメに更新できるといいのですが、どうでしょうか。性格の問題かな。あと観劇日の翌日は休みにしたいところです(笑)。

来年も素敵な作品にめぐりあえますように。
それではみなさま、ごきげんよう。良いお年を!

星組『柳生忍法帖』『モア―・ダンディズム!』感想2

星組公演

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宝塚剣豪秘録『柳生忍法帖
原作/山田風太郎柳生忍法帖」(KADOKAWA 角川文庫刊)
脚本・演出/大野拓史

ロマンチック・レビュー『モアー・ダンディズム!』
作・演出/岡田敬二

最初の感想はこちら。

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星組、東京千秋楽、おめでとうございました。
無事に幕が下りて何よりです。
愛ちゃん(愛月ひかる)もとても格好良かったです。サヨナラショー、素敵でした。
ルドルフ、すばらしかったです。オーラの輝きが最後まで美しかったです。
うたかたの恋』見たかったな。しめさん(紫苑ゆう)のルドルフが見たい母親と永遠に語れるな。
今まで素敵な夢を見せてくれて、本当にありがとうございました。
卒業後はまず、ゆっくり休んでください。寝てください。

柳生忍法帖』は、改めてあの水戸黄門は宝塚とマッチするのだなあ、と。
私は大劇場公演しか見ていませんが、東京ではもうちょっと洗練されていることを期待していたのですが、まあそういうこともあるでしょう。
十兵衛の優しさもたまりません。
私は天丸が傷を負いながらも、屋敷に戻ろうとしている姿を見て、堀一族の女たちが「先生、どうしたら」というのに対して、「行かせてやれ。あの子にはあの子で守らなければならぬものがあるのであろう」と答える十兵衛が素敵だなと思っています。
重ねて、村々から連れてこられ娘たちと一緒に捕らえられることになった十兵衛はわらべ歌をうたう女性に、弟たちについて「何かご存じなのでしょうか」と聞かれ、「きっと、姉様のお帰りを、心待ちにしておられよう」と嘘をつく十兵衛威がたまらなく優しいと思うのですよ。この二つの場面がぐっとくる。たまらん。
堀一族の女たちに優しいのはもちろんなのですが、その他の女子どもにも優しい。
いいよなあ、素敵だよなあ。
自分の身近な人間には優しいけれども、初対面の人にはいまいち人が変わったようになる男性って残念ながらたくさんいると思うんですよ。
レストランの店員にやたらと文句をいう男性の話とか、定期的にツイッターなんかでも話題になりますが、十兵衛はそうではない。最高だわ。

あと、ラストも好きなんですよ、やっぱり。
堀一族の女が東慶寺に戻り、亡き者たちの菩提を弔うというラスト、いいじゃないですか。
お千絵なんかは、誰かと結婚して堀一族の再興を目指すこともできるはずなのに、そうしない。
素敵じゃないですか。
そして東慶寺に戻る女たちの決心の前に、十兵衛がゆらの弔いを頼まないのも素敵。
十兵衛自身はこれからも剣豪として生きていく。坊さんにはならない。
だから堀一族の女たちに自分の代わりに弔ってくれということもできるはずだけど、ゆらと堀一族の女たちの関係を考えたら、とてもではないけれども頼めない。
頼めないけれども、現実の男はそういう無神経なことを平気で頼んでくるじゃないですか。
お前は何もしないのに、義理の家族の世話なんかできるかよ、みたいな地獄は、これまた残念ながらありふれた話なわけですよ。
十兵衛はそういう図々しいことをしない。ちゃんと堀一族の女の立場をわかってあげるし、尊重する。
十兵衛のキャラクター、本当にいいわ。
たぶん原作者の山田風太郎がみたら、びっくりするくらい戦隊ヒーローものになっているのだろうけれども、でもそれが宝塚には良かった。

もっとも個人的な好みを言えば、本公演の琴ちゃん(礼真琴)よりも、新人公演のかのんくん(天飛華音)の方が十兵衛としていいなと思いました。
「100年たったら敵もよぼよぼのじいさんになっているな」とかそういう、ちょっとふざけた感じのニュアンスが、かのんくんの方が本当にそう思っている感じで嫌味がなかったのが、いかにも痛快時代劇っぽくて私は好みでした。
新人公演といえば、なんといっても千姫のあまねちゃん(澄華あまね)が良かったですね。
どうして退団してしまうの……っ!とジタバタしていまいます。
あの愛らしい顔にいかついメイクをして、普段はあーちゃん(綺咲愛里)のような声なのに、どこから出ているのかわからないような低い声を出して、本公演とは異なり、いまだ大坂の陣の苦しみを消化しきれない千姫の像を見事に演じていたと思います。
新人公演のライブ配信、本当にありがとうございます。

本作品で唯一もったいないなあというのは、やはりひっとん(舞空瞳)演ずるゆらでしょう。
あまりにも出番が少ないのと十兵衛とのラブが少ないのは、作品全体の仕上がりとは別にやはり残念でした。
これが本公演でなかったらまた別だったのでしょうけれども。
別箱だったら『サパ』や『出島』もおもしろいと思えるけれども、やっぱり本公演にはラブが欲しい……私は作品重視タイプだと思っていたので、自分でもこう思うのは意外でした。
もちろんひっとんが好き!というのもあるのでしょうけれども、やっぱりラブが欲しいのよ。
それから「天台相承」という行事について、もうちょっと説明がないと、おういう儀式で、どれくらい大切な儀式なのかわからない人もいるかなあ。
個人的にはかりんたん(極美慎)の銀四郎がやはりツボすぎて、配信でもずっと見ていました。
会津七本槍はもう少し「魔性」っぽさ、「魔界」っぽさ、極悪人っぽさが加わるといいなと思っていましたが、いかんせん美しい人間の集団だから、それも難しかったのでしょう。
ここがもう少し強くなると、最後に十兵衛が「俺は人でいい」と歌い上げるところがグッとくると思いました。
十兵衛は剣豪だけど、人間の心の痛みに共感できない化け物にはならないってことですからね。

さて、ひっとん好きとしてはショーの方も実は物足りなくて、歌うのはオープニングとパレードだけなんですよね。
彼女がダンスの人であることは周知の事実ですが、でも別に歌えないというわけでは全くないじゃないですか。
登場する場面としてはオープニング、レジスタンス、キャリオカ、テンプテーション、デュエットダンス、パレードと決して少なくはない。
けれども彼女の声が聴けるのは最初と最後だけなんですよね。レジスタンスでもちょっとだけありますが。
宝塚は男役が中心になるのはわかっているけれども、それにしてもあまりにうたう場面が少なくはないですか、と。
これは岡田先生の他にイケコにもいえることなんですけど、もっと娘役の出番を増やしてくれてもいいんですよ? 頼みますよ?と。

ひっとんは琴ちゃんと踊っているとき、もう95%くらいは琴ちゃんを見ている。
「もうずっと琴さんハアト」という甘い瞳で見つめている。
テンプテーションのときはエビのようになっているドレスの裾裁きもあるから大変。
何が言いたいかっていうと、もっと観客席見てくれよ! あなたのことが大好きな観客もいっぱいおるで!!という気持ちになるのです。
そしてずっと見つめられている琴ちゃんは、わりと客席見ているし、そうでないときは愛ちゃんを見ている(笑)。いや、あんまり笑えないんだけど。
芝居でもいまいち一方通行だった思いが、こんなところにまで影響していなくていいよってなる。
トップコンビの一方通行はつらすぎるよってなる。
琴ちゃんはあんまりべたべたしない人なんだろうけれども、それを差し引いてもね。
ひっとんが好きすぎるから、ひっとんに幸せになって欲しいのです。
花組から星組に組替えまでして相手役になったのに、報われなかったら辛すぎるじゃないですか。
前任の紅あーの糖分までは高めろとは思わないけどさ……しくしく。

あと、ショーは銀橋を使う機会が少なかったのもちょっと残念かな。
銀橋をうたいながらスターが渡るのが大好物なので。銀橋ってもっと軽率に使っていいと思うんですよ。
燕尾愛ちゃんはキャリオカだけで終わってしまうのか!?と思ったら、ちゃんとサヨナラショーでもあったのが良かったです。
あれで終わったら悲しすぎるから。燕尾のセンターに立ってくれて本当にありがとう。
立派なタカラジェンヌでした。素敵なタカラジェンヌでした。たくさんの夢をありがとう。
ラスプーチン、エロール、プガチョフ、忘れないよ。
最初に公演が発表されたときは正直「これで退団で大丈夫かな?」とも思ったけれども、これで良かったです。これから一緒にヅカオタができるのが楽しみです。
今まで本当にありがとうございました。

花組『元禄バロックロック』新人公演感想

花組新人公演

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三井住友VISAカード シアター
忠臣蔵ファンタジー『元禄バロックロック』
作・演出/谷貴矢
新人公演担当/栗田優香

本公演の感想はこちら。

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人生初の新人公演! 最高に楽しかったよ、ありがとう! 新人公演メンバー。ありがとう! 栗田先生! そしてチケットの神様!!!
あわちゃん(美羽愛)が主演を務めるので、もうこれは絶対に行かなければ!と思っていましたが、お出かけして正解でした。帰りは遅くなったけれども、翌日の仕事はちと重荷だったけど、良かったです。
これはとっとと所属を変えてもらって毎公演観劇したいところ。
なんせプロローグから泣いた。
いつもは本来の時間軸の話の最後にうるっとくるだけなのに、今回はその場面も超泣いた。2人のラブがあまりに純粋で……。

新人公演の客層は不思議な感じでした。
宝塚のシステム上、もともと役者を見るもの、という傾向が強いですが、新人公演はさらにそれが顕著になりますね。
加えて生徒の親類縁者も増えるのでしょうか、男性というよりも、おじさんがいつもよりも多かった印象です。
そして宝塚としての役者が好きで見ている人と普段は演劇を見ないけれども知り合いが出ているから見にきている人との温度差も、なんとまあ……という感じでした。オペラの動きとか(笑)。
一般発売でもぎ取ったチケットだったので、2階列最後列からはよく見えました。でもマナーモードではなくて電源を切ってね。

まずは新人公演初主演を射止めたらいとくん(希波らいと)、おめでとう! そして良かったよ!
れいちゃん(柚香光)が「刀を振るえば強いけど、本人は時計研究なんぞ暗いことが好きだから、その持ち前の思考力で復讐や仇討ちにも予め疑問がある」キャラクター造形だったのに対して、らいとくんは「不器用ながらも時計研究に励むちょっとヤンチャな武芸の達人」になっていたのがまずおもしろかったです。
だかららいとクロノスケは物語の中で復讐や仇討ちに疑問を深めていく様子が感じられました。
キラに対する愛情も若い子の青春! 謎が深いほど惹かれちゃうし、謎が解けたあとはもう大好き!というワンコが顔を覗かせていました。
銀橋で時計が未完成だったことを知ったクロノスケが隣のキラに頭を乗せるのですが、ニマニマ見てしまいました。もっともキラは押し返して、結果クロノスケは上半身を銀橋に横たえておりました。
このやり取り、かーわーいーいー!!!
らいとくんは身長が高いから、キラの顔を覗き込むように屈んだり、下から覗いたりしていて、不器用で健気な少年の恋を見ているようでした。ラブラブやんけ!
身長高いから、どこにいても本当によくわかるし、華があるし、これは真ん中に立つべき人だなと実感しました。
あと何となくですが、手を繋ぐ回数も本公演よりも多くなかったかしら? そんなことない?
めっちゃ手、つなぐやん!と思って見ていました。

終演後の挨拶では2年ぶりの新人公演の初主演がどれだけ重荷になっていたかを感じずにはいられませんでした。
途切れ途切れですが、頑張って自分の思いを言葉にしていて、えらいぞ!
タカラジェンヌのスターになるためには、単なる演技力、歌唱力、ダンス力以外にもこういうインタビューや公演後の挨拶ができる能力も必要で大変ですわ……。
最近はトップスター以外にも、スカイ・ステージで自分の思いを自分の言葉で紡がなければいけない場面が多く、そういう人間性を見てさらに沼にハマる人もいるのでしょうね(その逆もまた然り)。
その意味でらいとくんの挨拶は良かったです。クロノスケの役作りの根っこにある不器用だけど一生懸命というのが、らいとくんの中にもあるのでしょう。

お次はご本命、キラを演じたあわちゃん。
もうどこを切り取っても可愛い!という言葉しか出てこない。どの場面が舞台写真になるのか楽しみです(気が早い)。
新人公演ヒロインの単体写真が1枚しかないのは本当にもったいないと思いますよ、劇団さん!バンバン
赤いお衣装、ピンクのお衣装、回想のお衣装、どれも素敵でした。
ただちょっと気になったのはピンクのお衣装と回想のお衣装のときに胸のあわせの部分がちょっと浮いているように見えたことです。
新人公演に合わせて衣装も縮めることはあるようですが、着物は肩幅とかもあるからなかなか直すのが難しいのでしょうか。
なんせ本役のまどか(星風まどか)は宙組にいたときはあまり気づきませんでしたが(なんせデカイ男役が多い)、身長もある上に上半身の体格もわりとしっかりしていて(安定したダンスをするためには大切なことだと思っています)、ちと華奢なあわちゃんには大きかったのかもしれません。
メインビジュアルの羽織も、なんだなかまどかよりも引きずっているように見え、踏みやしないかと、ヒヤヒヤしながら見ていましたよ、特に銀橋。
あとは萌え袖になっていたのもしっかりとこの目に焼き付けました。
そんなわけで舞台写真になるなら羽織なしのメインビジュアルがいいなあと思うけど、意外と新人公演ヒロインの舞台写真はメインでない衣装のことが多い印象だからどうかなあ。

あわちゃんはビジュアルもダンスも芝居も不安要素はあまりないのだけれども、唯一歌がね……とはいえ、健闘していたと思うのは、やはり贔屓目でしょうか。
特に2回目の「夢見て恋して堕落して〜♪」のソロは良かったです。
伸び代はいっぱいあるから頑張れ。入団してから歌が上達していった娘役なんていっぱいいるからね!
やり甲斐あるぞ! 応援しています。

「デジャブ」の発音が本公演とは違いましたね。
私はずっと本公演では、わざと違う発音にすることで魔法の言葉の響きを重視したのかなと思っていましたが、新人公演では私のよく知る発音でした。
鎖国していないなら異国の言葉がそれほど不思議な響きにもならないでしょうし、わざと外した説もありましょうが、どうなんでしょうね。
もっとも「デジャブ」なんて言葉を日常生活で使う機会はあまりない上に、使うときは「既視感」と漢字に逃げているので、「デジャブ」の本当の発音はよくわからないのですか。

コウズケノスケに「ツナヨシの立場になっていたのはお前だったかもしれない」と言われたときに「そんなものいらない」とまどかもあわちゃんも答えますが、前者は権力に固執している父親に対して心底呆れているような口調であったのに対して、後者が権力に固執している父親への嫌悪感が表現されていたように思います。この違いも興味深い。
なんだかんだで父親も救いたい気持ちがクロノスケを救いたい気持ちと同じくらいあるまどかキラに対して、あわちゃんキラはクロノスケ、コウズケノスケとちゃんと優先順位があるんだなと思う。だからラブラブに見えるのよねー!
あとは真顔の演技と笑顔の演技を上手に使い分けていてキラの本音か建前かが本公演よりも明瞭になっていてよかったとフォロワーさんがおっしゃってくれて、本当にそれ! そうなんです!と興奮しました。
他の人に褒めていただけるの、とても嬉しい!!!
ありがとうございました!!!

その他特筆すべき筆頭にみこちゃん(愛蘭みこ)がいます。本役が音くり寿の美少年将軍ツナヨシです。
これがまた! すごい!!!
くりすちゃんのお役ですから、もちろん歌唱力を買われてのことなのだろうけれども、そして歌も良かったのだけれども、それプラス怪演ともつかぬあの演技もそっくりでした!
本役さんリスペクトが強く感じられました。そしてちゃんと演じ切っていました。すばらしい。
前半はともかく「だ〜か〜ら〜僕は許さない♪」からのロック(?)でヘヴィーな歌と演技を一度にこなしてしまう、この能力よ……! とんでもねぇ!
娘役なのに将軍役で、発表を見たときはきっと本人も驚いただろうけれども、とても良かったです。

あとは演出の妙だな!と感じたのはリクの場面です。
本役かがりり(華雅りりか)はサラダ(という名の「その辺の草」)を持ってきたあと、座ったまま目線の方向と包丁の向きを揃えることで、コミカルさを演出していましたが(しかしリクにとっては死活問題だし、わりと本気でも不思議ではない)、みさきちゃん(星空美咲)は包丁を持ったまま立ち上がりクラノスケに対して「貧乏なのはいい!でも腑抜けの妻はいや!」と迫る。本公演では座ったままのけぞるだけだったクラノスケも自ずと立ち上がり、後退する。
舞台を広く使った演出がとても印象に残りました。
さらにリクがクロノスケに「お見苦しいところをすいません」と言うときに、クラノスケがこっそりリクの手から包丁を取り上げ、元の位置に戻す。本公演にはないこの演出が! とても! とてもよいのです!!!(かがりりリクは自ら包丁を置く)
この手の女は自ら武器を置かない、という強い信念を感じるのです。
いや、もしかしたらそんな意味はこれっぽっちも込められていないのかもしれないけれども、私は自分から武器を手放さない女性像のインパクトの強さにやられました。
もちろんみさきちゃんの持ち味もあるのだろうけれども(かがりりリクはこっそり取り上げようものなら、また包丁を向けられそうw)、この演出はすばらしかった。心の中で拍手喝采、全私がスタオベした。

動くといえば、コウズケノスケ(侑輝大弥)のセリ上がりもツバキ(稀奈ゆい)の膝枕ではなく、太ももマッサージであったことから、ツバキがセリから降りて身体を使って演技をする箇所が増えました。
さらにツナヨシ初登場の場面において、ヨシヤスとケンペルとの言い争いも本公演とは違う動きをしていました。ケンペルとツナヨシの間に割り込むヨシヤス!
全体的に身体を使う演技、舞台を広く見せる演技が増えたと思います。
それはもしかすると大袈裟な演技になったということかもしれませんが、新人公演ならそれもアリなのなもしれません。
本役さんが技量でカバーしているところを、新人公演担当の演出家が演出でカバーしているといつのはむしろ理想なのでは?と。

問題はむしろ劇団側があわちゃんとみさきちゃんをどう育成していくつもりなのかというところだと思います。
娘役2人を競わせることについては、かつての華ちゃん(華優希)とひっとん(舞空瞳)やわかば(早乙女わかば)と海ちゃん(海乃美月)を思い出しますが、どちらも憂き目をあった人が多いような気がしてなりません。
男役スターの育成ももちろん大事だけど、娘役もしっかり計画的によろしくお願いしますよ!

とはいえ、そこにここちゃん(都姫ここ)も仲間入りしてくると思いますし、さすがに一度新人公演ヒロインを経験しているだけあって落ち着いた、安定した芝居を見せてくれました。くノ一のカエデ、よかったです。
みさこちゃん(美里玲菜)は本役も新人公演のお役も賭場の女だったので、あまりやりようがなかったかな。彼女も大切にしてくださいね、頼みましたよ。

インターネットの記事についているらいとくんとあわちゃんの写真を見ると、新人公演を思い出して、つい胸が熱くなるのですが、あわちゃんの萌え袖もばっちり映っているので、皆さんご確認あれ。超可愛いです。
あわちゃんは『はいからさんが通る』の新人公演は公演できなかったけれども、劇団としてはカウントに入っているようで、好きなお役にも挙げています。
観客初お披露目となる新人公演がこの作品であったことも恵まれていると思います。
加えてファンであるあーさ(朝美絢)の写真集にもゲスト出演しているわけですから、かなり運がいい方だと思います。
個人的には大好きな作品の新人公演のヒロインを、大好きな娘役さんが担当した上に、注目している若手先生が演出を担当し(『夢千鳥』はちゃめちゃに好きです!)、それを生で観劇できた私も相当ラッキーだったな!と。これこそまさにラッキーこいこい。ラッキーきたきた!

外部『ジュリアス・シーザー』感想

外部公演

stage.parco.jp

ジュリアス・シーザー
作/ウィリアム・シェイクスピア
訳/福田恆存
演出/森新太郎
出演/吉田羊 松井玲奈 松本紀保 シルビア・グラブ

全員女性でシェイクスピアの戯曲を上演するというからスパダリと共に勇んで出かけていきました。
スパダリは福田訳戯曲を学生時代に読んだ、と。
私としては最近上演された宝塚の『アウグストゥス』や古いですが『暁のローマ』を履修済みで、そもそも有名すぎるカエサル暗殺劇を知らない人なんかおるんか???と思っていたところ、隣の席の女性がプログラムを片手に「うわ、難しそう。途中でわからなくなるわ」と言っていたので、そういうものか、と。
どうでもいいけど、携帯電話の電源はオフにして欲しかった。幕間なしの2時間20分の間に、一体何度震えたことか。
そもそも開演前から「電源切らなくてもLINE送れないんだけどー」とか言っていたから、最初から怪しいと言えば怪しかった。
舞台機構に電波が影響を与えるってことを知らないのかね。知っていても具体的に説明されなければわからないのかね。説明されてもどうせわからないのだから、大人しくマナーモードではなく電源を切ってくれ。

幕間なしの2時間20分はなかなかの体力と集中力を要求され、演者に対してだけでなく、観客にもスパルタな森先生に「あ、はい……ガンバリマス」としか言えない。
新しい劇場でしたし、椅子も柔らかく、傾斜もしっかりあり、見やすくてとても良かったのですが(都内の新しい劇場は見習って欲しいくらい)、いかんせん私の足腰はそう強くないという。かつて運動部であったことや運動を継続的にしたことなどない人間なもので。
とはいえ、劇場に入ったときの興奮は忘れられません。石畳に見立てた錆びた鏡の詰め合わせた舞台装置はすばらしかった。
舞台正面奥の鏡に至っては扉のように開閉までする。
序盤でキャシアス(松本紀保)がブルータス(吉田羊)に対して「お前の鏡になりたい」と言うのは、舞台装置もあいまって、とても説得力がありました。
2時間20分をやり通す演者は天晴れです。もうそれだけで拍手を送る。
幕間を入れるところも大して思いつかないので、これでよいのでしょう。強いて言えばシーザー(シルビア・グラブ)がなくなった直後?
でもそこで集中を切らしたくないのもわかる。

ブルータスがシーザーへの敬愛と不信に揺れる様子は他の作品でもありますが、今回は特にアントニー松井玲奈)の演出が良かったなと思っています。
シーザー暗殺に加わる貴族たちからは歯牙にも掛けないような態度を取られているアントニーが、シーザー亡き後、民衆の前ですばらしくうさんくさい演説をし、オクテイヴィアスの協力を得て、巨大な権力を手にしていく様は鳥肌が立つようでした。
公演プログラムにもここの演説の訳に福田がこだわっていたことが坪内逍遙訳と比較して語られていますが、なるほど、うまく倒置法を使っているなと思わずにはいられません。あの手の比較、とても興味深くて好きです(学生時代『源氏物語』の現代語訳比較をして楽しんでいた人)。
演説をしているときの、あの大仰なアントニーの態度に隠された心の中では、舌ベラを出してアッカンベーと意地悪く笑うアントニーが見えるような気さえします。

アントニーの前にいる民衆たちは愚かである。愚衆政策としては「パンとサーカス」が有名だけれども、アントニーの演説はうっかりすると民衆たちにとってサーカスになりかねないものだった。危うい。
現実はこんなものかもしれませんが。
花組アウグストゥス』のときに、流されやすい民衆を殊に愚かに描かれていることが気になりましたが、今回はあまり気にならなかったのは宝塚歌劇団がやはり大衆演劇だからという意識があるからなのか、なんなのか。自分の中でもまだぐるぐるしています。

ブルータスも良かった。
特に後半、キャシアスに怒りとも文句ともつかぬ長い台詞がありました。
それが、淀みなくすばらしい発声でとても良かった。あれは緊張するだろうな、山場なのでしょう。練習を積み重ねたことを思わせます。
全体的に見ても圧倒的なセリフの量でした。そう、これで2時間20分……バケモノですね!(褒めています)(ただし、一見さんお断り感はすごい)

しかし一番肝であったはずの「演者がすべて女性」であることには本当に意味があったのでしょうか、というのがスパダリと私の共通見解です。
メイン4人は超有名で、もとが男性キャラクターであることがわかりきっているけれども、例えばブルータスの部下や小姓が男性である意味は本当にあったのでしょうか。
もちろん当時の政治に女は顔を出さないのが通例なのは、歴史としての事実として動かしようはないでしょう。しかしクライタス、ダーテニアス、ヴォラムニアス、ルーシアスはなんなら女性の役として描いてもよかったのでは?と。
名前を考慮したらきっと女であるはずがないのだろうけれども、気になる日本人はあんまりいないのではないかと想像される。私が無知なだけかな。

プログラムのキャストのコメントを見ると、演者たちは一人称を「おれ」にすることで確実に解放感を得ているようでしたが、芝居の中でそれを観客が感じるのは少し難しかったようにも思います。
なぜなら、いくら「おれ」という一人称を使っていたところで、演出家の先生の意向により女性の身体のラインを生かしたワンピースをまとい、ブルータスやアントニーは細い腕が見えているからです。
観客としては、女性からの解放よりもむしろ女性であることのバランスの悪さ、アンヴィバレントさが際立ってしまったように見えてしまいました。
有り体に言えば、なんだ、結局解放されないんじゃんみたいな諦観とでもいうのでしょうか。
その中でキャシアスの体格の良さ、肩幅の広さは安心して見ることができました。
ノースリーブワンピースでも安定感のある身体は見ていて安心しました。
シーザーは背が高く、身体全体をマントで覆っていることが功を奏したのでしょう。
ただやはり物語の核となるブルータスとアントニーがあれではなかなかオール・フィーメールの意味を感じてもらうのは難しいのではないかしら。

あとは好みの問題ですが、シェイクスピアのあのやたらと比喩の多い、遠回しな言い方は音楽に乗せてこそ映えるように思います。有り体に言えばミュージカルですね。
クサイ台詞、もってまわった台詞なんかはミュージカルになると違和感なく入り込めるのだけど、ストレートプレイだと、私は入り込むのにちょっと時間がかかるらしいことを身をもって痛感しました。

宙組『プロミセス、プロミセス』感想

宙組公演

kageki.hankyu.co.jp


ブロードウェイ・ミュージカル『プロミセス、プロミセス』
翻訳・演出/原田 諒

品行方正、「清く正しく美しく」がモットーの宝塚歌劇団で、不倫をテーマにした作品はなかなか難しいのではないか、相性が合わないのではないかという話も当初ありましたが、実際に観劇してみると、妻子がありながらごく当然のように若い女の子をベッドに連れ込む重役が脇役とはいえたくさん出てくるような作品、おぞましくて宝塚以外で見られるかよって思いましたし、現代劇の中で自分のことを大切にしない人間をどうしてあれほど好きになるのかわからない私としては見るのがちと辛かったな……。
そりゃ、モノクロのセットはオシャレだし、回転してあらゆる場所に変幻自在に変身するのも気が利いているし、その中でもベッドが1番上にあるのも最高な上に衣装はカラフルでオシャレ、真ん中のききちゃん(芹香斗亜)のコメディセンスは抜群だし、まゆぽん(輝月ゆうま)は宙組が初めましてとは思えないくらい馴染んでいるし、マキセルイ(留依蒔世)の代役もパンチが効いていたし、じゅっちゃん(天彩峰里)ももちろん演技、歌唱力ともにすぐれているのだけれども、マイク・カークビー、ジェシー・ヴァンダーホフ、エッド・ドービッチ、アイクルバーガーらしょうもないおじさんが「どこかにホテル代わりに使えるアパートメントがあるはずだ」と歌う場面はなんとなく心が渇いた気持ちになりました。いや、たぶんこれは不倫という題材と私個人の抱える問題の相性の悪さなのでしょうけれども。
幸い私の友人で不倫で身を滅ぼした人はいないのですがね。もちろん私自身もそんな経験はない。ないけど、害はしっかり被ったので、不倫も浮気もバカバカしいのです。

だからこそ、といいましょうか、個人的なMVPはせとぅ(瀬戸花まり)が演じたシェルドレイクの秘書を演じたミス・オルスンなのです。
4年前のどこかの支店長の彼女です。
シェルドレイクに捨てられて、それでもシェルドレイクの秘書として近くで働いているのは、未練があったからというのも少しはあるかもしれませんが、それよりもなんといっても「仕事と給料」が慰めになったからだと言う彼女は「コンクリート」並の精神をもったスゴツヨ女です。
ああなりたいとは思わないし、こうならざるを得なかったオルスンにむしろ同情を禁じ得ませんが、それでも彼女は最後の瞬間まで美しかった。
1幕終わりのクリスマスパーティでフランに「恒例の奥さんと別れるって演説はもう聞いた?」と聞く場面はこれ以上ないくらいに痺れましたね。フランにそんなこと言ったら、彼女壊れちゃうよ?!って思ったよね。(そして実際そうなった)
この場面のオルスンはちょっと意地悪にも見えるし、実際に意地悪なのでしょう。でもフランの反応を見て気がつく。彼女はこちら側の人間ではない、と。
だから2幕でシェルドレイクに忠告する。そのあたりの変わりようの鮮やかさよ。すばらしい。
シェルドレイクに捨てられた女の会にはオルスンを合わせて5人出席しているようですが、もちろん彼が手を出した女は他にもいるでしょうし(メンタルがコンクリートな女性たちしか集まれないでしょう)、オルスンの言うように今後「会社中の女に手を出す」ことも十分に考えられる。
シェルドレイク、お前という男はなんと罪深いんだ……オルスンが退職願をもってきて、さらりとサインをさせてしまうのも最高。どうせろくに見ないでサインすることをわかっている。
あそこに書かれた退職金はきっと法律ギリギリセーフくらいの金額なのでしょう。働いた分と慰謝料分と。
そして奥さんに密告されることに怯えるシェルドレイクの小物さよ……小さい男だな、本当に。
シェルドレイクにしたって、奥さんがいて、子供が3人いて、クリスマスにはツリーを家に飾るくらいには団欒を築くことができているのに、なぜ他の女性と関係を持つのか。そういう貞操観念ガバガバな男性が出世する(出世するから貞操観念がガバガバになるのか?)、その一方で女は強くなければ生きていけないなんて世界、辛すぎるわい。世の中にはフランみたいな子の方が多いよ。全員がオルスンにはなれない。そしてそれを責めることは、もちろんできない。

とはいえ、シェルドレイクを演じたそらくん(和希そら)は安定した演技力と歌唱力でカンパニーをききちゃんと引っ張っていっている感じがありましたし、『夢千鳥』の経験も生きたのでしょうか、脇役でも光っておりました。同じことはじゅっちゃんにもいえますね。
私がこんなに腹が立つのも、そらくんが的確にシェルドレイクを演じたからでしょう。
しかし、クリスマスプレゼントを用意し損ねたからといって100ドル渡すのは間違っているよ。
「君に似合う鞄があるだろう」じゃないよ。それを一緒に選ぶのが楽しいんだろうが。
一緒に選べない不倫の関係はやはり誰も幸せにしないよ。
もっとも不倫相手に手編みのマフラーを渡すフランも相当重たいけどな。手編みかどうかなんて見ればわかるからね?
それを使ってくれるはずなんてないのに、なんでそういうことするかな……自分を傷つけるの、止めようよ。私も辛かったわ。
裏向きになったベッドの上でフランといかがわしいことをしたあとの芝居が繰り広げられているのは萌えでしたね。これはファンはたまらんでしょう。

急遽マージを演じることになったマキセも良かったですわ〜。新しい扉を開いた感じなのでしょうか、それとももともとあった才能がここでお披露目になったのでしょうか、定かではありませんが、とにかく良かった。
コメディセンスも抜群、大柄であることから、チャックを圧倒するのも説得力がある。
突然の関西弁、からのききちゃん、まゆぽんへと続く関西弁のアドリブ、爆笑ものでした。
フランの兄も、ありがちなキャラクターですが、観客はマージと一人二役と知っているので、別のおかしみもあって、たまりませんでした。
マージとして登場するときは黒ストッキングなのですが、足の細さに驚きました。とにかく細い!
そんな足で、一体どうやってあんな力強いダンスをしていたの?!ねぇ?!『サパ』のタオカと同一人物とは思えないんですけどー?!と脳みそがパニックを起こしました。ビックリだよ!
マージの代役はきっと他の娘役も候補に上がったのだろうけれども、マキセで良かったです。ありがとう!

まゆぽんも専科として初の舞台は同期がいないというちょっと過酷な状況でしたが、やりきりましたね!というどころの騒ぎではない。
のりのりじゃないですか!楽しんでますね?!とてもうれしかったです。
お稽古場でも宙組の皆さんがあたたかく迎えてくれたのでしょう。こちらもありがたいことこの上ない。
体格がいいせいか、ヒゲモジャにダサ眼鏡というおっさんスタイルも違和感なく、演技が本当にすばらしい。おじさん役、それでいて宝塚として品の良さみたいなものは内在していて、専科として素敵なスタートを切ることができたのではないでしょうか。

しどりゅーは、ききちゃんと扉を開ける開けないの攻防を繰り広げる中、さらっとタイトルを回収するし、不倫相手の看護師に扮するさくらちゃん(春乃さくら)は口で手袋を外すし、もう何がなんだか。『HSH』のシルヴィーも良かったよなあ。
あんなに力一杯扉を押したり引いたりしてもビクともしないわけですから、さぞ丈夫な舞台セットなのね、とも思いしたし、素敵な舞台装置でしたよね〜。
一番上にベッドというのがまたなんともたまらん。
フランが睡眠薬を飲んで倒れ込むときは、おいおい目線は大丈夫か?!とも思いましたが、ベッドがてっぺんにあるのがやはりおもしろい肝なのでしょう。カーテンコールのときに二人仲良く布団の中から顔を出したのが可愛らしくてたまりませんでした。
下にはアパートのLDKが続き、扉を開ければ階段、そしてようやく舞台の上。
裏側にはシェルドレイクの会社の個室、その他は社内病院の待合室になったり、巨大エレベーター、バーや中華レストランの壁など早替わりが多彩でした。
ブロードウェイ版もこんな形なのでしょうか。とにかく目が楽しい!
なぜ中華レストランなのかはよくわからないけれども……フレンチやイタリアンではないのね、ブロードウェイにおけるアジアのイメージってどんな感じなのでしょうか。不倫カップルが使うイメージなのでしょうか。

シルヴィアを演じたさらちゃん(花宮沙羅)もたまらんかったわ~可愛かったわ~可愛い子やわ~。
『夢千鳥』の菊子も良かったし、『デリシュー』のプロローグのソロも良かったし、これから期待できますね!
あと全体的に影コーラスが豪華すぎるので、もういっそ影ではなく舞台上で歌っていただいたらどうかしら。
クリスマスパーティーみたいにさ!

ところで、チャックがフランにかつて自殺しようとした話をしますが、あれは作り話かなと個人的には思いましたけれど、いかがでしょうか。フランを励ますための作り話。
フルーツケーキがあったのもチャックがシェルドレイクとその愛人のためにシャンパンと同じように用意したのではないでしょうか。フランの兄に自分から殴られに行くことからもわかるように、彼はお人好しなんですよね。
だから、ヴァンダーホフに言われように「オクラホマミキサー」ではない曲も用意したのでしょうね。
チャックのテーマソングをかけるとき「オクラホマミキサー」だと思ったのが、ツイッター上にもたくさんいて、おもしろかったです。そうだよね、そう思ったよね、私も思ったよ。
全く色気のない曲ですね、さすがです。

テーマは別として、噂に違わぬおもしろい作品でした。
これが円盤化されないのは本当にもったいない。惜しい。目が楽しい芝居だったので。
CDはライブ盤かな。曲だけではないといいのだけれども。劇団にお金を入れられなくて申し訳ない気にもなる。
ダーハラはそろそろオリジナル脚本でこのレベルのものを作ってくれるといのだけれども。そしたら劇団にお金を落とすことができるのに。
そしてなんなら一緒に雪組『20世紀号に乗って』もぜひ一緒に! お金を落とします!と思ってしまう亡霊です。