名古屋でヅカを夢見る女
名古屋にキャトルレーヴのポップアップ店が出るまで、残り2週間を切った。
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7月14日。
運命的な日に生まれたそのときから、家ではずっと宝塚が流れていた。まだビデオの時代だ。人生で大切なことは全部宝塚から教わった。大学受験のときもご贔屓がトップになったこともあり、静岡のド田舎から東京宝塚劇場まで親に頼んで通った。
大学進学時、わけあって東京には行けなかった。それよりさらに遠い兵庫県になど、まして行けるわけがなかった。
仕方なくわたしが選んだ土地は「名古屋」だった。
名古屋なら、少なくとも年に1回は必ず本物の舞台が観られる。宝塚大劇場や東京宝塚劇場で公演している作品もキャトルレーヴがあるから、せめてグッズくらいは買える。パンフレットやル・サンクだけでなく、舞台写真が買えるのは本当にありがたかった。
1枚330円というのは決して安くない。でも欲しいものは全て買った。迷ったら買った。同じキャトルレーヴでも名古屋と本拠地との在庫の差は歴然だったから。
名古屋しか選べなかったけれども、中日劇場とキャトルレーヴのおかげでわたしのヅカライフは思いの外、というよりは静岡にいたときよりはずっと充実していた。
中日ビル様様だった。
けれども、2019年3月に中日劇場が閉館することが発表された。そして新しい中日ビルに劇場はない。それは同時にキャトルレーヴもなくなることを意味している。
中日劇場ができるまでは御園座で公演したことがあると聞いていたので、盲目的に御園座で年1回は本物の宝塚の舞台を見ることができると信じていた。だから2019年の年間スケジュールにわたしは泣いた。
御園座には来なかった。
値段の折り合いが合わなかったのかもしれない、ア◯ノミクスのせいで中部地方では客が集まらないのかもしれない、それでも御園座に来ることをひたすらに信じていたわたしにとっては大きな打撃だった。
定期公演がないということは、合わせてキャトルレーヴも復活しないということも意味している。
その日はどうやって職場から帰宅したが、覚えていない。しばらくは生きた屍のようだったから。
最近はライブビューイングも充実していて、日程を調整して観に行っているが、やはり生の舞台とは全然違う。映画館で売ってくれるのはパンフレットとル・サンクとDVD、Blu-rayだけだし。
舞台写真もその他のグッズもない。
全然、まったく、比べ物にならない。
月とすっぽん。
社会人になってからはそれなりに大劇場に足を運ぶだけの金銭的余裕も出てきた。けれどもやはり片道の交通費だけでもう1回観劇できることを考えるとこみ上げてくる悔しさを抑えられない。
往復すればあと2回は観られる。
実際、最後の中日劇場公演「うたかたの恋」は4回観に行った。ご贔屓が出ないのは残念だったけれども、ヅカ友とはもちろん、親孝行をしたり、初めて宝塚を観劇する友人を連れて行ったりと2018年の2月は夢のように過ぎ去った。
初観劇した友人は「本拠地、宝塚大劇場でも観てみたい!」と言ってくれた。同年夏には奇跡的にチケットを入手することができた月組の「エリザベート」を一緒に観劇した。今ではすっかりヅカオタである。
そもそも名古屋でヅカライフを楽しもうというのが間違っているとか、旦那に止められて友の会に入っていない人間が文句を言うな、とかそんなことはわかっている。わたしの不満がお門違いなことは十分に理解している。
けれども「小さな声でも重ね合わせれば大きな声になる」と思ったし、「いやよ、大人しいヅカファンなんて」と思ったし、「人生の目標、それは名古屋にキャトを復活させること」と思ったし、「キャトがあったから名古屋を好きになった」という思いは伝えておかなければ、と思った。
2020年2月、めでたく宝塚公演が名古屋に帰ってくる。月組の『赤と黒』だ。
かつて、瞳子(安蘭けい)とあすか(遠野あすか)という歌うまコンビが演じた作品だ。
できれば、2018年12月に花組が全国ツアーをしたように(御園座ではなく刈谷アイリスホールに来てくれました)、お芝居とショーの組み合わせが良かったけれども、ひとまずめでたい。
個人的には、地方公演や全国ツアーは、宝塚初観劇の人もいるだろうから、一本ものではなく、お芝居とショーの組み合わせを望みたいところ。
別箱やバウホールはファンが行くからいいのだけれども。
あわせてキャトルレーヴも期間限定ではあるが、復活する。楽しみでならない。
開店初日には仕事を早退しようかと思う勢いである。
御園座でなくても、せめて愛知県内でで定期的に宝塚観劇ができること、名古屋にキャトルレーヴ ができること、この2つを心の底からあの世に行ってもお祈り申し上げます。