ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、古典文学など好きなものについて語るところ。

月組『赤と黒』感想

月組

ミュージカル・ロマン『赤と黒』-原作 スタンダール
脚本/柴田 侑宏
演出/中村 暁
公式ホームページはこちら。

kageki.hankyu.co.jp


●始終よみがえる瞳子
私は瞳子安蘭けい)の低くて固くて何物も寄せ付けない感じの声のトーンが非常に好きだったので、たまきち(珠城りょう)のジュリアンは最初から人間味あるな!?と新しいジュリアンでした。
「若さゆえの過ち」感はたまきちの方が出ていたかもしれません。演出の問題でしょうか。
レナール夫人もあすか(遠野あすか)がちらつきました。
さくら(美園さくら)はずっとあのイチゴミルクティーみたいな発声を続けるのかな……。

1幕はとにかくまゆぽん!(輝月ゆうま) MAYUPON! からん!(千海華蘭) KARAN!という感じでしたね。
二人の掛け合いが最高におもしろかったですね。
からんちゃん、まゆぽんの隣だと娘役みたいなサイズになっちゃうけれども、誰だってまゆぽんの隣にいたらそうなるわな、と思い直しました。
からんちゃんのファンの皆様、すいません。
私もからんちゃん大好きですので、許してください。
まゆぽんの一人芝居はずっと見ていられる。
お布団の上ごろんごろんしながらまゆぽんの一人芝居、ずっと見ていたい。
ここは日によってアドリブが入ったりするのかな?
演じ方が違うのかな? まゆぽんのそういう才能が愛しい。

フーケ(月城かなと)は、ジュリアンよりもジュリアンを理解している、本当にいい友達だなあと思います。
なかなかあんな友達いないよ。
材木屋に必死に誘うのも、別に材木屋でなくてもいいんだけど、このままだとジュリアンが破滅するってなんとなくフーケにはわかっているんですよね。
だから一生懸命違う道を提案する。
ただ、フーケは家も材木屋で自分も材木屋になったから、その道しか知らなくて、その道しかお勧めすることができないっていうだけの話で。
結婚するなら間違いなくフーケ!

いちごちゃん(咲彩いちご)の出番がおそろしく少なかった1幕。頑張れ、いちごちゃん。
私は応援しているぞー!
2幕はデュエットダンスのカゲソロでしたね! やったね!

●マチルド最高じゃねぇか!
マチルドのじゅりちゃん(天紫珠李)、めっちゃ良かったです!
『愛聖女』で、主演のちゃぴ(愛希れいか)と対等な立場で友達になる役を演じ、新人ヒロインを経て、東上ヒロインも経験した彼女の成長っぷりがすばらしい!
何がいいって何から何までいいよ。
高飛車なところも高慢なところも自意識過剰なところもすばらしかった。
この役は一歩間違えれば本当に嫌な役だと思うのですが、個人的には大変好みのキャラクターなので、違和感なく上手に演じてくれたじゅりちゃんにはもはや感謝しかないわ。
キャラクターだけみたらやばい自意識の塊ですよね?
ジュリアンと一晩過ごして「期待したほどの感動が得られないからもう後悔しているわ」という。
一体どんな期待をしていたのw 本の読みすぎよ!
でも好きなキャラクターなのです!

取り巻き連中も最高でしたね。
兄のノルベール伯爵(夢奈瑠音)、婚約者のクロワズノワ侯爵(蓮つかさ)、ラ・ジュマード男爵(礼華はる)、そしてなんといってもロシアのコラゾフ侯爵(月城かなと)。
「恋は曲者~女は魔物♪」も最高でした。

クロワズノワ「鳴くまで待とう、だよ」
コラゾフ「待っている間に別の枝で鳴いているかもよ?」

このやり取りが最高でした。ごちそうさまでした。
でもね、だいたいね、「恋は曲者」と思っている時点でその「恋」は本物じゃないんですよ。
だから「女」が「魔物」なのではなく、単に「男」が「不誠実」ってだけの話ですよ。
本当にもう! パリの連中ときたら>< 好きだ!
星組公演のときもここは豪華だったからな。好きな場面だったわ。

コラゾフ侯爵がサン・クレール夫人(夏月都)にひそひそ話している内容は、どうやら毎回違うらしいという話を聞いたのですが、ジュリアンのフェルヴァック元帥夫人(結愛かれん)への内緒話はどうなんでしょう。
こちらも毎回違うのかしら。
ちなみにそれを見てイライラするマチルドも最高でしたよ。
「私を愛して」と泣き崩れる様子とかすごかったね、演技が。じゅりちゃんすばらしいよ。

ただ、マチルドがパパから、というかピラール神父(夏美よう)から手紙を読まれたとき、すぐに泣いて出ていく演出はちょっと唐突かな。
一度でいいからジュリアンに「これは嘘よね?」とか聞いてほしい。
でもジュリアンは久しぶりにレナール夫人の名前を聞いて、動揺してマチルドに返事ができず、返事がないということはつまり真実なのだ、と受け止めたマチルドが泣きながら部屋を出ていくというのはいかがでしょうか。尺足りないのかな。

牢獄にいるジュリアンと会話するマチルドが身ごもっている子供について触れないのもおもしろい。
いい悪いは賛否あるかと思いますが、本当にいまだに自分のことしか見えていないお金持ちのお嬢さんっていう感じはある。
まあ、このままクロワズノワと結婚して、クロワズノワの子供として育てるのがいいのでしょうけれども、マチルドがそれを許すかどうか。

●フィナーレ
フィナーレが神。
『出島小宇宙戦争』もそうでしたが、フィナーレが隅から隅までいい。
1回じゃ足りないわ!って気分になる。

からん、まゆぽん、るねぴ、れんこんの並びを見て、思わず泣いてしまった。
芝居でも泣かなかったのに。
私、この人たちがいる月組が好き……っ!って改めて思った。
ここにれいこちゃんも加わるんだよ? 最高じゃないの?
別箱だけど、ちなつとゆりやもいるんだよ? やばくないですか?
っていうかまゆぽんはうちの旦那よりもがっしりした体格だと思うよ。すごいよ。
格好良すぎる。最高だよ、まゆぽん。脚長いよ、まゆぽん。
まゆぽんとアキちゃんには長く月組を支えてほしいと勝手に思っています。好きだよ、二人とも。

フィナーレが非常に充足していたので思うことは、地方公演や全国ツアーはやっぱり芝居とショーの二本立てがいいよということです。
初見の人にも勧めやすいんだってばよ!
劇団も劇場もわかってくれー!

さくらはフィナーレで2着もお衣装があるという贅沢っぷり。
他の娘役にもこういう贅沢をぜひさせてあげてください。
娘1が娘役をずらりと引き連れてくる場面もありましたが、こういう場面をもっとつくってあげてください。
全国ツアーの星組、頼みましたよ!
ひっとん(舞空瞳)が娘役を連れてくる場面と若手男役を連れてくる場面と両方欲しいよ! 楽しみにしているよ!

御園座という箱
わざわざ名古屋まで足を運んでくださったヅカファンの皆さんは「スタッフのホスピタリティを感じる」「トイレの動線がスムーズ」「きんつばの実演販売!」と何かと褒めてくださり、本当にうれしいです。
嬉しいのです。
嬉しいのです、が。
箱としてはどうでしょう。毎度のことながら私は本当にいかがなものかと思うわけですよ。

1階席10列目という非常にありがたい席で観劇できたのですが、前が見えない。
特に私みたいな身長が150ちょっとしかないような小娘には、前に座高の高い方が座られたら、もうどれだけオペラグラスをのぞいてもその人の頭しか見えない。
観たいところが見えない。
簡単に言うと、1階席に全然高低差がない。
だから見えない。
信じられないくらい高低差がないですよ?
一昨年前に花組が『メランコリックジゴロ』『EXCITER!』を上演した刈谷のホールとは雲泥の差。
むしろ2階席の方が高低差がちゃんとあってしっかり見られるという謎の箱。

なぜ高低差がないのか。
諸説ありますが、きっと上のマンションの階数を増やして手っ取り早く金儲けがしたかったと考えます。
なんせ緞帳でさえ、「トヨタ」「松坂屋」の共同で1枚ですからね。
それぞれで1枚つくれよ。トヨタなんか地元の一番でかい企業じゃねぇか。
何で、金惜しんでるんだよ!と思いますよ、私は。結局文化に力入れる気、ねぇじゃんと思われても仕方があるまい。
せちがない世の中だよ、まったく。

だから御園座は2階席での観劇をお勧めしたい。
客席降りがあると1階席がいいなと思ってしまうのはわかるのですがね。
10列で見えないっておそろしすぎるでしょう。

あとは座席が半分、前とずれていないことも致命的だと改めて思いました。
とてもあたらしく観劇用につくられた箱だとは思えませんよ。
東京の例のホールといい、新しい箱ほどちゃんと設計されていないのは恐ろしい。