ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、古典文学など好きなものについて語るところ。

星組『エル・アルコン-鷹-』『Ray -星の光線-』感想

星組公演

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グランステージ『エル・アルコン-鷹-』
青池保子原作「エル・アルコン-鷹-」「七つの海七つの空」より~
 原作:青池 保子(秋田書店)  脚本・演出/齋藤 吉正

Show Stars『Ray -星の光線-』
作・演出/中村 一徳

開演アナウンスがやけに低い声で、もうここから完全にティリアン入っているな、という感じでしたが、幕開き一発目、ビジュアルもまたかなり初演に寄せてきている印象でした。

初演は大好きな瞳子安蘭けい)とあすか(遠野あすか)でしたが、当時はまだ実家暮らし&受験期だったこともあり、生で観劇はできておりません。
映像で見た記憶はあるのですが、今回の再演を見て「後半、全く記憶にない。いつ終わるんだ?」と思ったので、印象としてはその程度だったのでしょう。
再演するなら「多すぎる録音の心情台詞のカット」「女性が無理やり襲われる場面のカット」「ティリアンの野望の明示」の3つはせめて直してほしいと思っていたのですが、見事にそのどれもが実現していなくて本当にもう……原田先生は一皮剥けましたよ、あなたはいつ剥けるのですかヨシマサ先生……。
今回の再演に向けて分厚い原作を読みましたので、わたしは脳内補完ができましたが、場面はぶつ切りだし、話は飛び飛びだし、キャラクターの気持ちはまあわからんでもないのだが、「でもなんでそう思うの?」「だから何なの?」みたいな虚しい疑問が脳裏を過りまくりましたね。
このあたりの換骨奪胎は小柳先生に弟子入りした方がいいのではないでしょうか。
「七つの海、七つの空を手に入れる」ということはつまりどういうことなのか、「スペインの無敵艦隊の総司令になりなる」とか具体的なこと言ってください。

こっちゃん(礼真琴)は、13年前予科生としてこの作品を見て、えらく感動したという話ですが、本に感動できない以上、役者に説得力があったということでしょう。
噂に聞くところによるとあかさんもお年玉を注ぎ込んで見ていたとか。
「そんないい作品か?」と映像でしか見ていない私は思わず穿った見方をしてしまいますが、生で見た方がおっしゃているのだから、やはり役者がすばらしかったのでしょう。
本はダメだよ、どうにもならん。
プログラムで「13年前予科生として、熱狂してこの作品を見た生徒が今では星組のトップスターになった」とヨシマサ先生のお言葉がありましたが、それを詠んだ時に「あれ、ひっとん(舞空瞳)はまだ102期生だぞ?」と思った私をお許しください。
ひっとんの話では当然ない。こっちゃんの話だよって感じですよね。すいません。

そして私は「海賊が好き」と無邪気に言ってしまう、そういところが実はあんまり得意ではないのだなと思いました。歌もダンスも上手いのは認めるのですけれどもね……。

しかしトップスターがやりたいという作品があることと、その作品が再演に耐えうるものであるかどうかということは全くの別問題ではないでしょうか。
今後もこっちゃんがやりたいと言っていた『ロミオとジュリエット』を上演することが決まっていますが、こちらも娘役の数が少ないという問題は以前から指摘されていたはずです。
まあBOXを買っておいて、ケチつけるなという話でもありますが、逆に言えば、BOXを買ったから文句も言えるのよ!という感じでしょうか。
『1789』ももしかしたらこのコンビで上演されることがあるかもしれません。
そのときはぜひオランプ役はひっとんにしましょう。
そして何よりオリジナルの脚本を待っています。なんのための座付き演出家!
トップスターのやりたい作品の願いはわりと叶えられるのに対して、トップ娘役の願いはなかなか叶えられないことにもなんとなく不満があるのかもしれません。
そう考えると雪組の『ファントム』は、コンビの熱い気持ちが再演にゴーをかけたのでしょう。これもまた再演する価値のある作品かどうかは微妙ですが。

さて肝心の再演ですが、役者という意味ではとてもよくて、ティリアンをやりたくてたまらなかったというこっちゃんはもとより、愛らしくも気高い貴族兼女海賊をのギルダを演じたひっとんも、ラスプーチンとか黒太子とか次の死とかやたらと黒いイメージのある愛ちゃん(愛月ひかる)のレッドはとてもよかった。
それだけに本が……とも思う。何度も言うよ。
同じ紺色のドレスでも、袖から出てくるたびに違う髪型、髪飾りになって、娘役魂が炸裂しているはるこさん(音波みのり)、ティリアンに情報を提供する酒場の踊り子スサーナを演じたあんる姉さん(夢妃杏瑠)、堂々たるエリザベス女王を滑稽味をふまえて演じた副組長なっちゃん(白妙なつ)、レッドを支援する根っからの海賊ブラックを演じたかのんちゃん(天飛華音)あたりが印象に残っています。
ラストの愛ちゃんとかのんちゃんの並びは、おお!これは!よき!と思わず拍手をする勢い。このコンビ、バウや別箱でいかがでしょうか。

ひっとんは、もはや娘役トップスターとして向かう所敵なし!という出立でしたね。
ドレス姿は踊り難かったかと思いますが、エリザベス女王ばりの襟の白いドレス、女海賊として仲間を率いるショッキングピンクのドレス、シリアスな場面で着ている紫のドレス、いまわのきわの黒いドレス、ラストの天国でのホワイトベージュのドレス、どれも本当によく着こなしていました。
髪型もアップスタイル、おろしているスタイル、どれも美しかったです。
どれが一体舞台写真になるのでしょうか。とても楽しみです。どれも欲しいわ!
海軍中佐相手でもひるむことなく、首を取る気満々の強気の女性は大好物です。すばらしい。
だからもっとキャラクターを書き込んでやれよって思いましたよ、余計に。
ただ少し痩せてしまったでしょうか? しっかり食べていますか? 心配しています。
迫力のある歌声、ダンスにはある程度の筋力、脂肪も必要でしょう。

キャプテン・ブラックを演じたかのんちゃんもとてもよかったです。
あの脚本だと、ちょっと出てきてすぐにレッドの味方になってしまい、なんやねんというところはありますが、芝居はとても良かった。
レッドがスペインに亡命するティリアンを追いかけようとするところを止める姿が大変に勇ましかったです。
かのんちゃんは特にお顔が好みというわけではないのですが(すいません)とにかくお芝居から目を離せない役者だなと思っています。
『エルベ』のときのヨーニーがいまだに忘れられないのです。あれはとてもよかった……。

「乙女心がピンクに染まる~♪」の歌詞の破壊力は相変わらずすごいですが、同じボケ担当なら『アーネスト・イン・ラブ』のセシリー嬢が歌う「悪い人」も負けていません。
気になった人はぜひ検索してみてください。
今回の曲に負けず劣らず、ぶっ飛んじゃうような歌詞だからw
1から10までツッコミどころしかない。
ちなみに私は大好きです。

ラストの白いお衣装のティリアンとギルだはTHE宝塚という感じで、また二人が抱き合うわけでもなく、それぞれが自分の足で立っているというのが印象的でしたが、天国ですかね?
天国なんだろうなあ、しかしギルダはともかくティリアンは天国に行けるのかなあ、なんて思ったり……。
ダーティーヒーローを宝塚で上演するのは全く構わないのですが、ラストが難しいのかもしれません。


『Ray』のオープニングでは思わず天寿光希を探してしまいました。いないよって話ですよね。セルフツッコミ。
いや、あの紫のお衣装に金髪のみっきーがあまりにも好きすぎて、つい……なんて罪な人なのだろうか……好き。

ひっとんの曲が増えていたのが嬉しい限りです。
オープニングの「あなたの輝きに彩られ~♪」と歌いだすかと思いきや、愛ちゃんとデュエットで新しい歌詞をいただきました。
そして中詰、謎の霊鳥の場面でも冒頭にピンクの大きなセンスをもってソロをいただきました。
どれも素敵です。こういう変更があるから全ツ版の楽しみはやめられない。
しかしオープニング直後のこっちゃんとひっとんのデュエットソングがなくなったのは残念でした。
あれ、好きだったのにー!
残しても良かったのでは?と全体の構成を見ても思うのですが、いかがでしょうか。
なんでこっちゃんの元気はつらつなソロになってしまったのだろう。
あの曲の振り付けが密だったのがいけないのか……。

はるこさんの鬘がショーでも本当に見応えがあって工夫が凝らされていて、娘役の鏡だなと思いました。
思わず見てしまう。すばらしい。
星娘たちはこういう技術を今の内にきちんと教わっておいてくださいね。受け継いでくださいね。
あとは画面に映らなくても袖て歌っているのがすぐにわかるなつさん。
圧倒的な歌唱力。安心安全信頼の歌唱力。きっと肺活量もすごいんだろうなあ。

肺活量といえば、こちらも負けていないのがことひとのデュエットダンス。
音楽は「星に願いを」でした。
こっちゃんの衣装が赤×黒だから、最初に出てきたときに「ねずみか?」と思ったのですが、曲もディズニーだったので、浦安に思いを馳せた人はおおいことでしょう。
本公演のデュエットダンスよりも好きかもしれません。
しかし一番好きなデュエットダンスは『ロクモ』のときのデュエダンです。
あれはすばらしかった。あんなハイレベルのデュエダンを最初に見せられたらなんていうかもう……言葉がない。
しかしこの二人、踊り終わっても全然息が上がっていない。ぜいぜいしていない。胸が大きく動いていない。すごい。
筋肉の付き方の問題もあるでしょうけれども、肺活量もすごいんでしょうね。

五輪の差し替えは本当によかった。救われた。ありがとう、一徳先生。
そのままだったらどうしようかと思った。
早く中止にならないかな。
一徳先生の作品のフィナーレ冒頭は、例えば『MusicRevolution!-NewSpirit-』の「Such a Nirgt」もそうなのですが、今回の「星にスイング」も配役が変わったり演出が変わったりしても大変好き。
本公演バージョンから好きでしたが、今回のもだいぶ好きです。
ぴーすけとかのんちゃんという配役も私得でありますし、何よりお衣装が好き。
ぴーすけもかのんちゃんもひっとんも後ろのすみれ色のお衣装も全部好き。
要はシルバー系のノーブルなお衣装が好きなんでしょうね。
ひっとんは髪形がフェリシアのようでこれまた可憐。好き。最高。愛らしい。天使。
しかしやはり痩せたのでしょうか。ちょっと首回り、胸回りのすきすき具合が気になりました。ちゃんと食べているかしら……。
とにかく心配です。
貴重な娘役トップスターですから。大切にしてあげてください、劇団のえらい人たち。


本日11月30日は星蘭ひとみの退団日。
袴での儀式もなく、お別れということが寂しくてたまりません。
今までありがとうございました。類稀な美貌が忘れられません。『鎌足』『ロクモ』あたりの採用のされ方が良かったと思っています。
これからの活躍を祈っています。

そして衝撃的な人事の発表もありました。
なんて過激団なの、というしょうもないギャグはさておき、もやもやが残ります。
やはりこれは華ちゃんが残留してくれることが私の唯一の希望ですが、華ちゃんの決断も応援したいジレンマです。言っても詮無きことですね。
来月に控えた『アナスタシア』を見る目がだいぶ変わると思われます。