ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、映画など好きなものについて語るところ。

星組『めぐり会いは再び next generation』『Gran Cantante!!』感想

星組公演

kageki.hankyu.co.jp

ミュージカル・エトワール『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-』
作・演出/小柳奈穂子

レビュー・エスパーニャ『Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!』
作・演出/藤井大介

見て参りました、『めぐあい3』と『GC』。世間ではショーを『グラタン』と省略する方もいておもしろい。私はひたすらお腹がすきそうなので、大人しく頭文字をとります。ええ、グラタン大好きなんですよ(聞いていない)。
プログラムの拍子は機械仕掛けの歯車に、ちょっとふるめかしい鍵、帽子にもなにやら近代的な機械がくっついており、星を測る道具や蓋付きの懐中時計やら近代的な香りをプンプンさせておきながら、ルーチェに扮する琴ちゃん(礼真琴)の手にはおそろしくアナログな虫眼鏡という取り合わせ(笑)。
きっと探偵事務所に居候しているからなのでしょうが、ルーチェは虫眼鏡を使うことはないし、機械仕掛けのトリックもルーチェが使うことはありません。その役はむしろゆりちゃん(水乃ゆり)扮するアニスの役目でした。またあなたは棒演技でもいいような役をきちんと描いてもらって、本当によかったね、というところです。しかしいつまでこの路線で引っ張るつもりなのでしょう。身長はあるし、ダンスも優美なんだけどね……。

そして帽子を被ったルーチェと対照的に王冠を頭にいただくアンジェリークのかわいらしさよ……っ! なんてこった! ひっとん(舞空瞳)、超可愛い! 知っていたけど! 知っていたけれども、毎回可愛いを更新していく姿の、なんとまぶしいことよ! ひたすらにありがてぇ。拝む。
白いドレスも可愛いし『恋アリ』の華ちゃん(華優希)の段々ドレスの上下色違いも可愛かった。屋敷の中で着ている飾りのあまりない白っぽいドレスもよかった。ラストの水色ドレスにピンクのリボンつけ放題はやりすぎ感もあったけれども、まあひっとんだから着こなせるよね! 他の誰が着られるのか、とは思いましたが、可愛かったね!

物語はルーチェの母親が亡くなるところから始まる。そこにユリウスがいることにすでに泣いた。みっきー!(天寿光希)
母親役は今回で退団の華雪りらちゃん。彼女も多少演技がアレなところがありますが、臨終の床という場面であることも手伝ってうまく誤魔化せていたと思います。
マリオのかつらはえらいこっちゃと思いましたが、シルヴィアの「はい!」という返事が、本当にねねちゃん(夢咲ねね)そっくりで驚きました。綾音美蘭ちゃんですね。
そしてこれは話の本題からはそれますが、ルーチェもアンジェリークも母親を亡くしているというのがなんともしょっぱいところです。物語にはもちろんマダム・グラファイスのような妙齢の女性も出てきますが(歌姫エメロードはもはや年齢不詳w)、ことごとく女性が若く死んでいるような気がして妙につらい。物語としてはありがちなのですが、実際に年をとっていかなければならない観客としては胃が痛いような気もする。女は若いうちに死んでこそな生き物ではないでしょう。
その意味で「オーソドックスなラブコメ」を目指している以上、難しいのかもしれませんが、王位継承権が女性にないのももやる、というつぶやきを見て、確かにな……と思いました。まあ、話が全然変わってしまいますから、そう簡単にはいかないのでしょうけれども。

ついでに疑問なのが王家の秘宝?である一角獣の聖杯、でしたっけ。ダアトだ狙っているお宝ですが、これはコーラス王家の中でも女性が受け継ぐものなのか、男性が受け継ぐものなのか、それとも王族と結婚した人が持つ者なのか。
第4場の説明では「王妃様が亡くなったから今は持ち主がいなくて、王女様と結婚した人が次の持ち主」というような台詞だったと思うのですが、一体誰が持ち主になるべきなのか、ルーチェが持ち主になるべきなら、今の持ち主はコーラス王でいいのでは?と思ってしまったのですが、ここはどう考えたらいいのだろうなと思いました。
その依頼をもってくるのはアージュマンドという女性。実はアンジェリークの侍女であるアンヌ。るりはな(瑠璃花夏)大活躍でしたね。ただ彼女もアンジェリークの侍女兼ボディーガードでありながら「あまり外に出ていないから彼女がアンジェリークの侍女だとばれることはない」というのもちょっと???でした。
アンジェリークってそんなに外に出ていないのか……? あんなにお転婆なのに……? じゃじゃ馬なのに……?

オープニングはアニメかと見紛うほどのカラフル感と芝居ならではのいっぺんにたくさんでてきてもりもり感とで楽しかったです、眼が忙しかったです。すでにここのうたち(詩ちづる)が可愛くてたまりません。
うたち、新人公演でアンジェリークやるんだよね? あのお衣装をうたちも着るのよね?と思ったらもうドキドキが止まらないです、可愛いです。そう思っていたのに大劇場公演の新人公演は中止。なんとか東京公演ではできることを祈っております。

ルーチェは計算すると10歳のときから王都に留学しているのかな。よほど優秀だったのか、その根性を鍛え直すためだったのか。いずれにしろ大学を卒業後は「大手弁護士事務所でバリバリ働いている」という大嘘を実家について、実際はニート生活。けれどもそれは彼だけで亡く、親から形だけとりあえず受け継いだと思われる探偵事務所の主・レグルス(瀬央ゆりあ)、女優志望ではなく大女優志望のティア(有沙瞳)、劇作家のセシル(天華えま)、機械大好きアニスの4人も絶賛長い長いモラトリアムの真っ最中。
4人で歌う歌、良かったですよね。あの曲、欲しいわ。そして歌い終わった後の「無駄な体力使った」というセシルw
あなたから歌い始めたのにwww
現実は厳しい、そうなんだよね……わかる。わかるけれども、この国の平均寿命は一体どうなっているのだろうとも思いました。
25歳でモラトリアム!といっていられるのは、多分わりと平均寿命が長いんだよね? 母親二人は若くして死んでいるけど(しつこい)。
もっとも王女様の結婚相手を25歳まで決めかねていたあたりを考えると、やはり平均寿命は長そうです。

その後の銀橋ソロルーチェ、歌い終わったあとに「恋は人を愚かにする」云々と上手で語りますが、これ『めぐあい2』で言っていた台詞と同じですよね? 10年間、なんて成長がないんだwwwと吹き出すかと思いました。
10年間、アンジェリークと何やってたの! なんでなんの進歩もないの! 今回、初めて「好き」って言ったわけでもないでしょうに! じれったーい!

一方、アンジェリークの育った屋敷では、レオニードが! はるこさん! オレンジのベレー帽がよくお似合いで!
ミントグリーンとオレンジの組み合わせのお衣装で、うっかりすると緑と橙の衣装のセシルとかぶるのですが、あまり一緒の場面に出てこないことが功を奏している。一緒に出てくるときはレオニードがミントグリーン一色だったりもするし。
無事にマリオと結婚したのに、いわゆる姓は「ロールウェル」のままなのか、西洋にありがちな、全部くっつけるタイプなのかはわかりませんが、夫人としてもばりばり働きつつ「恋愛コンサルタント」としても活躍中ってすごいな。もっとも恋愛コンサルタントに向かないタイプのような気もするけれども、他人の恋愛のことなら結構冷静に判断できたりするものなのだろうか。

信号機配色の泥棒は前回のパロディのように銀橋から登場。今回はかぼちゃではなくパン泥棒。なんか、格が下がっていないか、大丈夫か?w
そして信号機と出会う双子のカストルポルックスが超絶可愛い。うたちと稀惺かずとくん。『紳士』ではかずとくんが一生懸命うたちにプロポーズしていましたね。ロバートとメイベルが今回は双子です。そこはかとなく両親のブルギニョンとリエットを思わせる出で立ちにきゅん。かわいいなー! かわいいなー! ユリウスが心配になるのもわかる。こんな可愛い双子とうまく待ち合わせができなかったら、心配で夜も眠れない。
双子のかわいらしさに対してなんてダメな大人なの、信号機三人組w そしてダアトと嘘をついて、さらに話を紛らわしくするややこしいやつらめ……愉快ですな。

さて、王宮前広場では婚約者候補たちが課題をこなします。颯爽と現れたのは最有力候補といわれるロナン。マズリエではない。
おいしい役をもらいましたね、きわみしん(極美慎)。お会計はブラックカード、ダンスコンテストでは空手の「押忍」を交えながらアピールしていきます。
そばに寄りそうほのか(小桜ほのか)も大変よい。今回はキュートというよりも色っぽい役でしたが、良かったです。
ほのかが良かっただけに、きわみー! もっちょっと頑張れー! ほのかに負けてるー!と思うところがないわけではなかったのですが、回数を重ねるとよりよくなっていくかなと期待していました。それだけに公演中止はつらい……この手の役は回数をこなすとおもしろくなるタイプだと思うのだけど……。
見せ場もたくさんあるし、ほのかとの2ショットも素敵だし、次はバウ主演が待っているのだから! ここいらでしっかりね! 土台を作っておきたいではないですか。ええ、美しいことは知っているんですよ、演技とか歌唱とかそっちです。贔屓目もあるから美しさで許してしまいそうになるのだけれども、もうちょっと! ファイト! 応援している! できるぞ! 好きだ!

ロナンのパパ・オンブルの憎しみは、まあわかるといえばわかるよね。
自分こそが身を呈して戦って、最前線で守ってきたのに、王女を預ける先は自分ではないのか、と。血のつながりがあるというだけで屋敷に引きこもっている弟に預けるのか、自分は信頼されていなかったのか、と。
役目が違うといえば、違うのでしょうけれども、納得できないのも、まあ仕方がないのかな。ただ戦いがなくなったにもかかわらず宰相として王の近くにいられることは実はありがたいことなのではないか、とも思いました。
『王家』では戦いがなくなったら人々は戦士を敬わなくなったという話がありましたが、戦いがなくなった戦士を宰相として側近くに置き続けた王の胸の内にはやはり別の意味の信頼があったのではないかな、それに気がつけばもう少し幸せだったのかな、なんて思ってみたりもしました。
あかさん(綺城ひか理)は文句なしによかったです。ただありちゃんが来てからの番手が彼女も読めなくて、ファンは気が気ではないだろうと思うと心配です。

探偵事務所でルーチェは全ての真実を知ることになりますが、「真実はいつも一つ」ってあの台詞はどうもな……「ダンスは得意なんだ」は笑えたのですが、これはちょっと大丈夫なのか、と。著作権としてもなんだかもやもやしますし、そもそも本当に真実はいつも一つなのか、とも思うわけですよ。
一つしかないのは「事実」であって、それに解釈を加えた「真実」は一つではなく、人の数ほどあろうと思っているので、ちょっと冷たい風が心の中で吹きました。
ここで整理したことを、あとで城内でもう一度旅芸人にミュージカルで説明させるのは、まあいいんですけどね。ええ『All for One』とか『CASANOVA』とか、あのあたりと同じ手法で、観客としては丁寧でありがたい。個人的にはもうちょっとスピーディーに話しが運んでもいいかなと思うが、後半なんかは答え合わせみたいなものですし、ゆっくりでもいいのかもしれません。

ルーチェの背中を押すユリウス、アンジェリークにアドバイスをするレオニード。この場面、とてもよかった。銀橋でみっきーが歌で琴ちゃんを励ますの、じーんってきたし、めっちゃ泣いた。そしてはるこさんにも歌わせるという、この賭けよ!
でもルーチェとアンジェリークの対比が浮き彫りになって非常によかったです。
もちろん、今回で退団されてしまうみっきーとはるこさんの対照も鮮やかでした。サービス大爆発すぎて、涙腺が崩壊しました。ここが一番泣いたよ、泣いたよ……ありがとう、小柳先生。

オンブルの悪巧みは無事明るみになり、王はルーチェとアンジェリークへ、オンブルはロナンへと少しずつ世代が変わっていくことをゆずちょ(万里柚美)のマダム・グラファイスが予感させるのがよかったですね。
オンブルが配流された土地はマダムの恋人・リュシドールのいる地。彼はオンブルを快く迎えてくれることでしょう。ありがたい。
ジュディスがロナンを追いかけて彼の地にまで行ったのも良かったです。女だけ都で待たされる話を私たちは見過ぎているんだよ。一緒に連れて行けよって思うことが多かったんでね。パパの大司教には申し訳ないんだけどね。

めでたくまぁるくハッピーエンドかと思えば、すっかり忘れ去られていた(というか多分途中から誰も来ると思っていなかった)本物の大怪盗ダアトが見事に一角獣の聖杯を盗み出して、「俺たちの旅はまだまだ続く!」みたいなジャンプの打ち切り漫画さながらのラストでした。これ、また続きを作るつもりだろうか……私はもういいかなと思っているんだけど。好きな人はたくさんいると思いますけどね。

さて、お次はショー『GC』。「グランカンタンテ! グランカンタンテ! グランカンターテー!」と口ずさんで帰ることができる主題歌はやはりいいですね。難しすぎず、単調すぎず、耳に残りやすく、楽しく! 英語の歌詞が作品タイトルの部分しかないのもよいです。日本語のほうが聞きやすいからね、と『TOP HAT』を思い出しました。
こちらもプログラムのお写真の二人がすばらしい! これは! なんというひっとんの色気! たまんねええええ!!!
スペインがモチーフということで、ちょっと帽子が多かったり、『ネバセイ』のマントと同じでは?と思ったりもしましたが、初めて見る人にとってはどうでしょう。同じ場面が続くように見えないといいのですが。と、いうのも初心者を連れて行く予定なのです。
もっともオープニングはひっとんが娘役をずらっと連れて大階段を降りてきただけでもう優勝ですな。ダイスケ先生のそういうところ、好きやで。
うたちが最前列の下手におりましたね。これはもうとっても嬉しくって……っ! すげえよ、うたち。驚いちゃったよ。ホント、頼もしいわね……っ! 身長が高いわけではないので、センターよりでも二列目以降にいると、今まではちょっと重なって見えてしまう座席もあったと思うのですが、最前列ですからね! なんといっても最前列! ダイスケ先生、ありがとう!

にんじん祭り。せおっちはもちろん一人違うスーツでしたが、スカーフ?のようなものがひろ香祐と朝水りょうだけ別のものだったような……しかしせおっちの上手にはきわみしん……これは、一体どういう……とも思いつつも、なんせ変顔とまではいかなくても表情豊かすぎるきわみしんをオペラで追うので必死すぎましたよね。いや、美しいからさ、変顔といっても変ではないのですが、あのくるくる変わる顔付き、とてもいいわね。
ニンジン娘は、どこかで見たことのあるような衣装で、ちょっとよくわからないという人もいそうな気もします。そして好みもわかれそうです。ただスペインの場面が並ぶ中では映えた場面だったことは確かでしょう。

パティオ祭りBではひっとんが出てくるまで、はるこさんが琴ちゃんの相手をし、色気をふりまくわけですが、他の娘役と全く違うドレスで登場したひっとんは最高だったし、この場面のコーラスのうたちの色気、やばくなかったですか? 私、本当に娘役しか見ていないんだ、この場面。うたちの色気、大爆発していた。今までどこにそんなの隠していたの……恐ろしい子
この場面、ずっと見てられるで……すごい色気だった。娘役ちゃんたち第フィーバーじゃないか。

中詰の初めはきわみしん。こっちも手に汗を握るような展開ですが(笑)、これは嬉しい。銀橋まで渡る。観客もよく知っている歌だけにプレッシャーもあろうが、よく渡りきりました。これは毎回ドキドキの展開だと思いますが、最後まで頑張れ……!
しかしここの中詰のけーこさん(美穂圭子)の歌はさすがなのですが、なぜゆずちょには歌わせないの。いるだけのお人形みたいになっていたわよね? いや美しかったんだけど。美を愛でるという意味では大正解だったのですが、それだけではもったいなくないですか、だってゆずちょですよ!? 専科さんですからねっ!?
バレンシアの熱い花」ではコーラスだけでなく、ダンサーもできるのよ!と見せつけてくるうたちづる。ほんまに恐ろしい子やで。のちに銀橋では琴ちゃん、ひっとん、せおっちと三人で残るのに、なぜかパレードの大階段では娘1と2番手の羽根がむしりとられているという事件に出くわし、これはこれで腹立たしかった……ありちゃん待ちなのがありありとわかるの、つらくないか。私はつらいぞ。せおっちファンは覚悟が出来ているからつらくないのかな、でもひっとんの羽根までむしるなよ、と言いたい。

そして108期生期待大のふみちゃんです。茉莉那ふみちゃんです!
初舞台生挨拶でもずらっと並んだ中で、気持ち少し身長が低いのですが、それでも光るものがあるからこその入団のはずです。とても期待の星です。丸顔もかわいい。ひたすらに可愛い。彼女が口上の日に観劇予定でしたが、無事に幕は開くのか、開いても口上の順番が入れ替わることもきっとあるだろうから、どうかな。でも全員が話す機会を得ることの方がもちろん大事。
どうか幕が開きますように。繰り返しになりますが、東京での新人公演は無事にできますように。
『ル・サンク』や舞台写真の発売も変わってくるでしょう。公式ホームページもムービーやらギャラリーの更新がまだですし、このあいだにはかどるといいのですが。無事に帰ってくるのを待っています。