ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、古典文学など好きなものについて語るところ。

星組『マノン』感想

星組公演

kageki.hankyu.co.jp

ミュージカル・ロマン『マノン』
原作/アベ・プレヴォ
脚本・演出/中村暁

いつの話しているの?という感じですよね。自分でもそう思います。
バウホールライブ配信しか見ていないのですが、いつの間にかKAAT公演まで終わっていて、自分でも驚いています。
手元にメモは残っていたものの、記事にするまでの情熱をあまり作品からもらえなかったということですかね。
そもそも再演するにしたって、なんでこの話を選んだの?というところからあんまりよくわかっていなくて。
愛ちゃん(愛月ひかる)の『不滅の棘』は再演だったけれども、映像でしか見たことがないけれども、とても感動したのに対して、こちらはなかなか感想記事を書くにまで至らなかったというのが本音でしょうか。
原作は有名ですが、未読。話の内容はなんとなく知っています。
まあ月組の『舞音』もあったからかな。あれも絶賛!という感じではないのですが、まあ景子先生の作品だと思ってみれば、なんとかというところですかね。
再演にしても、もっと他にいい脚本があったでしょうに。
もっとも最初はレスコーに振り回されていたロドリゴが、最終的にはレスコーを振り回す側に立場が逆転するのはおもしろいと思っています。しかしそれにしてももっと書きようがあるでしょう。

出会ってすぐにロドリゴとマノンは恋に落ちる。まあ、それはいい。
けれども、なんか薄っぺらいんですよね。情熱だけが先走りすぎていて、言葉が足りないというか。
脚本に台詞がなりないのはA先生の悪いくせだと思うのですが、今回はそれをとても感じてしまって、ライブ配信だったこともあり勢いにもっていかれる、ということもなく、ただ淡々と話が進んでいっただけのように思います。
愛ちゃんはよく似合う衣装が多かった一方(苦悩に満ちた顔も最高だったな、愛ちゃん)、くらっち(有沙瞳)のドレスが、ことごとく微妙だったのも残念でした。
一番似合っていたのはラストの囚人服だと思います。
私のツイッターのタイムラインでは、あの囚人服の場面について「一番似合っている」という意見はおおむね一致していたのですが、「とうとうマノンは改心したのね、清貧な美しさが際立つ……っ!」という意見と「言うて、またお金があったらどうせ贅沢はやめられないんだろう!」という意見にわかれていて、なるほどおもしろいと思いました。
個人的には後者です。贅沢は骨の髄までやってくる。そう簡単にやめられるわけがない。

プロローグのフラメンコはなかなかによかったのですが、例の「未来なんて君にやる。だから今を僕にくれ!」みたいな有名な台詞も私には全然刺さらなかったんですよね。
使われる場面も、ん?だったし、なんなら意味もちょっとよくわからないな、と。
なんならものすごく自分勝手な言葉に思えてしまって、ときめくどころではなかったな。

マノンの兄・レスコーのかのんちゃん(天飛華音)はよかったですが、『エルベ』のヨーニーや『食聖』の新人公演主演を務めたからにはこれくらいはできるでしょう、という感じでした。
良い意味でも悪い意味でも期待通りというところかな。華のあるスターさんなので、これからまだ貪欲に頑張って欲しいです。
ただ、思ったよりも出番があって、後半はあれだけ舞台に居続けているのに、テンションを落とさないのは新しい発見でした。
「カジノの女神」の曲が作品の中で1番好きだったかな。

レスコーの恋人・エレーナの水乃ゆりちゃんはそろそろ限界なのかな……と思ってしまいました。
今までたくさんお役をもらって、チャンスをもらっているのに、いかんせん、芝居がうまくならないなという印象です。
歌が多少アレでも(『食聖』の新人公演の配役は正しかったのか?)、芝居はできないと個人的にはツライ。まあ今回は役として居所がなかったのもあるでしょう。蓮っ葉な感じが中途半端なのは脚本の問題でしょうし。とはいえね。
久しぶりに『龍の宮物語』も見たのですが、あれだけ清彦にべたべたしていたのに、白川さんの前では「特定の書生一人と特別なんて、考えられません」と言うようなことを言う。
あれも最初に見たときは、なんやねん!と思ったけれども、今思えば、令嬢が書生ごときと恋なんて……という世間体もあったのかもしれません。ただゆりちゃんの演技からいまいち私がうけとれなかっただけで。
華があり、すらっと身長も高いスターさんで、踊りはすばらしいと思うのですが、これから星組には詩ちづるちゃんも来ますし、どうなることやら。

あかさん(綺城ひか理)のミゲルは2番手というわりには役不足と感じてしまいましたが、ロドリゴをとめられない歌は絶品でしたし、上手に演じていたと思います。フィナーレがあってよかった!と心底思いましたよ。
同じく良かったのはアルフォンゾ公爵。朝水りょう、すばらしかったな~!
なんなら一番肩入れしたくなるキャラクターですよね。
ロドリゴと兄妹をぎゃふんと言わせたい気持ちはとてもよくわかる。
公爵を慰めるモブ女になりたい気分です。

そんなわけで『マノン』に関して言えば、私はいい客ではなかったと思います。
だから感想記事を書くのもどうしようかなーと思ったのですが、いい客ではなかった作品として残しておくことにも意味があろうと思い、筆を執りました。
次の大劇場作品も楽しめるかどうか不安ですが、見には行きます。ショーは楽しめるといいなあ。