ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、映画など好きなものについて語るところ。

外部『ラ・カージュ オ・フォール』感想

外部公演

www.tohostage.com

『ラ・カージュ オ・フォール 籠の中の道化たち』

作詞・作曲/ジェリー・ハーマン 
脚本/ハーヴェイ・ファイアスタイン
原作/ジャン・ポワレ
演出/山田和也

鹿賀丈史市村正親の伝説のコンビと言われて久しい『ラ・カージュ・オ・フォール』。
数年前も「これが最後かな」と淋しそうなダーリン(『レミゼ鹿賀丈史ジャン・バルジャンの世代の人)を連れて、わざわざ静岡まで出向いて観劇したわけですが、なんのことはない、次の公演もちゃんとあって、しかも今回は愛知で公演。
しかしチケットの売れ行きはイマイチだったのでしょうか。
同じ劇場で先日観劇した『カーテンズ』も本作もなぜか愛知が大千穐楽で、どちらとも私は前楽を観劇しましたが、翌日のチケットがリピーター割引価格で販売されていました。もっとも箱のサイズが大きすぎるということもあるでしょう。本日の『n2n』も当日券があったと聞いたしな。
オペラ用かと見紛うほど縦に長い、そしてサイドにはボックス席のようなものまであるわけですから、そもそも座席の数が多いのでしょう。それでも千秋楽近くのチケットが余っている状況を地方で目にするのは淋しいものです。チケットが売れなければ、次の公演につながりませんからね。

前回とジャン・ミッシェルとアンヌが変わりましたが、特にジャン・ミッシェルは演出も変わったように思います。
1幕ではザザをいらないもの扱いする態度があからさまで「こんな嫌なやつだったか?」と思いました。
その分、2幕、アンヌの両親の前でザザをかばうところがより強調されたということなのでしょうが、対比するにしてもちょっとやり過ぎかなというか、1幕のあれはなんだったんだとちょっとご都合主義に思えてしまったかな。あんなにイヤがっていたではないか、と思ってしまう。
1幕で何も知らないザザに対して笑顔で「ごめんね!」なんていうジャン・ミッシェル、見たくなかったよ……。
アンヌは『レ・ミゼラブル』でコゼットを演じた小南満佑子、良かったです。
アンヌの両親は今井清隆と森久美子。安定も安定。鹿賀、市村に劣らぬ大御所であります。

そして我らがジャクリーヌはたーたん(香寿たつき)。前回大好きだった「お店の評判はソースの味だけでは決まらないのよ」という台詞は、わかりやすくなったものの、少し説明っぽい台詞にもなってしまって、ウェットに富んだ、気の利いた言葉からは遠ざかってしまいました。残念。
出番は増えていたように思います。そこは良かった。
鹿賀丈史と同じくらいの身長だったな、たーたん。下手すると市村正親よりも高かった……ヒールを履いているというのもあるのでしょうけれど。

前回と一番大きく変わったと思ったのはショーというかレヴューの場面が大幅に増えていたところです。
ザザがトーク部分でぼやいていましたが、確かに実は中の人の年齢的に厳しいものもあるのでしょう。
その中での圧巻のカンカンダンス。いやはや、すばらしかった。
レヴューのお衣装だけで5着あったかな?
たくさんあってすごかったし、迫力満点でした。

ただこの作品もそろそろ寿命かもしれません。「オカマバー反対とかまだやってるの?」「伝統的家族観が尊いとかへそで茶が沸く、ちゃんちゃらおかしい」くらいになってもらわないと困るからです。もう21世紀ですよ?令和ですよ?むしろそうなるべきでしょう。
伝説のコンビとはまた別の意味で「これが最後」になってもおかしくない作品です。