ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、映画など好きなものについて語るところ。

花組『はいからさんが通る』ライブ中継・第二幕感想

花組公演
はいからさんが通る

kageki.hankyu.co.jp

原作/大和 和紀「はいからさんが通る」(講談社KCDXデザート)
(c)大和 和紀/講談社
 脚本・演出/小柳 奈穂子


お前、いつの話しているんだよ……って感じですよね。
私もそう思います。
ちなみに一幕の振返はこちら。

yukiko221b.hatenablog.com

みなさんが安全に再び舞台に立てることを祈って、二幕の振返、行ってみよう。
前回同様、主な視点としては別箱との比較です。

幕開きモダンガールズ。超超超かわいかった。初演のときも代々大好きな場面だったから残ってくれてうれしいし、初演の環はしろきみちゃん(城妃美玲)だったからダンスガールが楽しめるし、今回の環はおとくりちゃん(音くり寿)だからソングガールが楽しめるし、本当においしい役だな、環!? 最高すぎます。
「自由とプライドを小脇に抱え~♪」って好きすぎる。
「亭主関白がいいなら他所へどうぞ~♪」の歌詞も好き。
お衣装は大正モダンで、下級生のモガがたくさん交ざっていて可愛かったよ^^
曲のラストでは環と高屋敷のやりとりもあり、にぎやかい。千秋楽は手をとってもらえるかな。

そしてその曲ので就職先を探している紅緒。
2幕のお衣装がゴールドのサテンブラウス、赤白ストライプの大きめの胸元リボン、ショート丈のグレーチェックのサロペットに赤いベレー帽という出で立ちで個人的には???という感じでした。
これはグレーのジャケット、臙脂のロングスカート、赤いベレー帽の初演のときの方が可愛かったような気がする……個人的な好みという話もあろうが、そもそもゴールドとグレーを合わせるだろうかという疑問もある。
思わず初演のときの舞台写真を買ってしまいそうだよ、ちなつ(鳳月杏)の編集長に抱き着いている紅緒さん。

紅緒が冗談社に向かうと明らかに怪しい毛布の塊から出てくる編集長。
というか、あの音で気が付かないの、すごいな。紅緒もすごい音を立てるな。
やっぱり一幕の「牛さん、あの人ヘンタイだよ」という蘭丸の台詞が削られたのはイタイなー(くどい)。
ここで編集長に「俺は徹底した男尊女卑だ。したがって女は雇わん。帰れ」と言われた紅緒は「ふぅん。要するに恐れているのね。女に仕事ができると男の権威が失墜すると思って。男尊女卑?!ちゃんちゃらおかしいわ。仕事の出来ない男だっているし、優秀な女性だっているわ。そういうことがわからない人に男尊女卑なんて言われたくないわよ!」という紅緒さんが力いっぱい反論して、編集長が「な、なんだと!?」とうろたえる場面がまるっとカットされてしまっていたのが……もう……残念で……涙が出る。しんどい。
この台詞、いるでしょう!?
こんなことを言ってのけてしまう紅緒は後から追加された台詞の「ノンポリ」ではいわゆるないかもしれない。
けれども、この言葉は紅緒の人と為りをよく示した言葉であって、削ってはいけない台詞だったと心の底から思うよ、私は……復活してくれないかな。
今回は、編集長の台詞のあと「さっきから聞いてれば…っ!」みたいなところで編集部員3人がやって来てしまい、紅緒の怒りが吸収されてしまう。この演出は本当に無理だ、私。ごめんなさい……だってあの台詞、そらでも言えるくらい大好きなんだもの。
もっとも逮捕されたときに「紅緒が反政府主義の思想なんてもってない」とは言いにくくなってしまうだろうし、ここに出てくる環の「そんな! 紅緒はノンポリよ?」という台詞ともいまいち整合性が取れなくなるような気もするのだけれども、そことの整合性よりも紅緒のキャラクターを優先させてほしかったなあ、なんてわがまま。
だってさ、あんまりでしょ、あの台詞のカットは……。あんまりだよ~!

編集部員は個性豊かになりましたね。
しかし売り上げ低迷の部分はちょっとくどかったかな。蛇足のような気もしました。
飛行船がやってきて、そこでの取材が入社試験になる紅緒は記者となった環と再会。
再会の演出も変わっていました。大道具の都合でしょう。舞台の幕前での芝居でした。せまい……。
環の「正式な声明がないのはロシアの意向ですか?」という台詞がなくなっていたのは残念。しょんぼりーぬ。
紅緒と再会した後の「冗談社っていったら、編集長がルドルフ・ヴァレンティノ並みのイケメンだって言うじゃない。今度紹介してよ」という台詞もカット。なんでやねーん!!!
ルドルフ・ヴァレンティノといえば、新見南吉同様胸囲が不足して軍事学校に入れず、銀幕のスターとして活躍するものの31歳という若さでこの世を去った超伝説の映画俳優じゃないですかー!
本当にイケメンだからみなさんもぜひ検索してみてください。
まあ、旦那曰く「もうルドルフ・ヴァレンティノなんて誰も知らないんだよ」と言われた。まじかよ。
面食い設定の環も本当に大好きだったのに。

ここで登場するミハイロフ侯爵のお衣装はふっさあ!という感じに変わりましたね。豪華。
いかにもロシアというファーが素敵です。よく似合っていらっしゃいます。
そしてまいてぃ鬼島登場。茶色のお衣装からずいぶん明るい黄色のお衣装になりましたね。まぶしいぜ。
3人で冗談社に戻ると、まさかの編集長はお着替えをしておりました。ちょ、まっ……!
紅緒さんでさえニ幕はほとんどあの赤いベレー帽つきのお衣装なのに、編集長はもうお着替え!?早くない!?と思いましたが、なんのその。
私は2着目のネイビーストライプのお衣装の方が好きなので問題ないです。結局そこw
断然こちらのお衣装の方が好みなのですが(ちなつはお着替えなかったなーやはり本劇場は違う)、思いのほか早くてびっくりしました。
そういえばキセルという小道具も増えましたね。シャンシャンの都合でしょうが。原作では確か吸ってなかったような。

冗談社にやってきた環に対して「うわ、すっげー美人!」という編集部員の台詞がカットされていたのは涙ものでした。その台詞は環のアイデンティティにもかかわることですのに……「思う人には思われず、思わぬ人には思われて」って一幕でも言っているじゃない!
環のキャラクター設定として必須じゃない!
しかも「すっげー美人」なのに「冗談社ももう少しましな編集部に引っ越せるんじゃないかしら」という「意外と毒舌」だから、環は環なのだよ。
前者の台詞がカットされた以上、後者の台詞のおもしろさや価値は半減なのでは……?と勝手に思ってしまった。
ほら、紅子も言っていたじゃないのよ、見た目と中身のギャップが大事だって。
本当、環って私が目指すところだわ。

なんとか雇ってもらえることになった紅緒。鬼島、環、編集部員はそれぞれ情報を集めてくれるそう。
そして編集室は紅緒と編集長だけになる。
掃除もまともにできない紅緒。さすがである。
そして日替わり標語。こういうのが舞台の醍醐味である。
どうでもいいですが、最初のお茶は一体誰に出そうとしたのでしょうか。
編集長の前、通り過ぎましたよね?
お茶を運ぶのに一生懸命すぎて、運ぶ相手である編集長が見えていなかったとか?
すごい視野の狭さだなw 剣術のときのことを思い出してwww
そうこうしているうちに須磨子さん登場。相変わらず美しい。お見合い写真の提示の仕方が変わりましたね。
須磨子さんがそれとなく客席に見せる演出よりも、初演の編集長と紅緒が「ちょwこれはw」と見ている演出の方がウケていたような。
コミカルさが全体的に減ったのかしら。
はいからさんが通る』はもともとラブコメですから、もっと笑わせてくれてもいいのですよ。
あ、でも笑うと声が出るからアレなのかな……演出変えたのかな……。

「将来を誓った人がいます。それはここにいる、花村紅緒さんです!」と紹介された後、紅緒がお茶を落とし、編集長の足にかかり、思わず「あつ…っ!」と。どんなお茶を飲まそうとしていたんだ。
今回はパパも登場。
「相変わらず、わがままに振り回されていますね、トーサン」「まあ、そこが可愛いところでもある」そう、なの……か? 
パパは本当にそれでいいのか?
編集長の「トーサン」というのがいかにも棒読みっぽくていい。
しかしあの弱気な感じのパパだと本人が望んで「貴族のお姫様を金で買った」というよりは青江の家がそれをつよーく望んでいたから仕方なく……というふうにも見えてしまう。漫画だともう少し強そう。
ママもパパも出て行ったあと、紅緒も出ていき、最後に紅緒が入れたお茶を飲む編集長がまたいいw
ただお茶を入れるだけなのに、一体どれほどまずかったんだw
すごい吹き出し方だった。

ミハイロフ夫婦を歓迎するパーティーでは、オペラ歌手による余興も増えましたね。よき。
そのあと藤の精。吉次さん、蘭丸、紅緒。
蘭丸との掛け合い「紅緒さん、逆逆!」「付け焼刃なんだから勘弁してよ!」はまるっとカット。しょぼん。
コミカル画面がまた一つカットされえてしまった。
「どうして俺までこんな格好を!」「特ダネのためだ!」という編集長と鬼島の掛け合いは残っていたのに、なぜ……。
去っていくミハイロフ侯爵夫妻を追って行く紅緒。
ラリサの台詞がちょっと変わりましたね。「紅緒さん、といいましたか。あなたはわたくしの夫を別の誰かと勘違いなさっているようですね」圧倒的な勝者の余裕ですな。
このあとまいてぃが売り楚から切りかかったことがっていだとなり、ミハイロフは少尉としての記憶を完全に思い出すのですが、その演技に磨きがかかっていたのが印象的でした。素敵!
再演はやっぱりこういうのがなくっちゃね~!

編集長の、なぜか紅緒にだけ伝わらない愛の告白の場面を経て、高屋敷のところで反政府文書が見つかる。
この演技は下手側で行われていて、舞台の真ん中でやるよりも不穏な雰囲気でよかったです。
そして上手では「紅緒が逮捕!?」「なんでも持っていた文書の中に反政府主義者のものが混じっていて」みたいなやりとりを編集部員、鬼島、環で。
ここで例の環の「そんな! 紅緒はノンポリよ!?」という台詞が追加。何度も言うが、ノンポリであるかどうかは相当怪しい。
初演のときは「花村がそんな思想をもっているはずがない」という編集長の台詞がありましたが、今回はそもそもここに編集長がおらず、次の場面ではすでにミハイロフと対峙。
あれ、鬼島に聞かずして、気が付いたのか……?何かを見逃したのかもしれない。要チェック。
ただ、ここがなくなったのは鬼島の「俺も、あのはいからさんを泣かせたくないからな」とカットするためだったかなとも思う。
紅緒と編集長の結婚式の時点で、環は鬼島と腕を組んでいたからな……。
個人的にはこれは初演の演出のほうが好きで。
と、いうのも漫画では、紅緒と編集長の結婚式のとき、たまたま鬼島に会って、キツイことを言ってしまった環が「どうして素直になれないんだろう」と思う場面があって、あのしっとりさがたまらなく好きだからなんだよね~!
だからそんなに早くくっつかなくてもいいのよ!
ちょっと蛇足なような気がするのは、原作の環が好きだからなんだよ。
大人になって、学生時代に繰り返し言っていたであろう「私たちは誰かに選ばれるのではなく、私たちが殿方を選ぶ」という理想が、とても現実には遠いことを知ってしまう、大人の階段を上る、そういう描写が丁寧なんだよなあ。
本当に原作漫画、お勧めです。
そんなわけで鬼島といちゃつくのは(もっとも原作では最後までいちゃつかない、番外編がある)本当に最後の最後でいいのよ。
鬼島が紅緒さんにちょっと惹かれる描写があってもいいじゃない>< ヒロインだし!

編集長と少尉の対峙。しかし思えばなぜ編集長はミハイロフが少尉と気が付いたのか?「鬼島軍曹から聞きましたか」という少尉の台詞から察すると、やはり編集長と鬼島の場面はあった方がよかったのではないか。
それはともかく、まあちょっとひやっとするような、背筋が凍るような場面。
この場面のラスト「零れ落ちた記憶のむくい、今こそ、この身であがなう~♪」のワンフレーズの歌がなくなっていたかな?代わりに紅緒と最初に会ったときに追加されたソロのバージョン違いの曲をワンフレーズ歌う。

ちなみに原作では、紅緒さん、獄中の中でも結構楽しくやっています。
このあたりがコメディだわ、本当。相変わらず酒乱を発揮しています(笑)

組長が! 組長が! 本物のワルです! あの杖、絶対サーベルだと思ったよね、思ったよ。
さらにその中に麻薬とか入っていても全く驚かないよ。
怖すぎるぜ~! 悪い役が板についていますぜ~! こういうきれいなおじさんの悪い役、本当によく似合う。好き。

ラリサと侯爵、紅緒と編集長の結婚式の場面は、初演では左右に分かれていましたが、今回は高さを使った演出で、前と後ろになっていましたね。これはよかった。
「来たな、恋人」「来ました」最高だな。初演の願いを叶えてくれてありがとう、なほたん。

地震&火事の中、紅緒を見つけるなり、水筒の水を口に入れて、紅緒に直接飲ませる少尉。
水筒はすぐに後ろに捨てられるのですが、わたしはあの水筒になりたいと思ったよ。
炎の中で再会する二人を特等席で眺めながら灰になりたいと思ったよ。ヘンタイですまん。
この演出追加はよかったー! すごくよかったー! 大満足!
無事に助け出された後、蘭丸の「紅緒さん、ごめん、僕、反対から逃げて」という台詞の追加はおもしろかったw
ウケていたし、まあいいでしょう。
前後しますが、編集長が炎の中に戻ろうとするとき、父親が「息子をあんな炎の中に行かせられるか!」と止めますが、そこで編集長は言ってやればよかったんですよ、「あなたは父親ではない」って。
外部版の『ロミジュリ』もあそこがしびれるんだらさ!などと勝手なことを思っていた。

少尉と編集長の一騎打ちを経て、編集長が立ち直り、(高屋敷の「こんなときだからこそ、言論の灯火を消してはいけない」というのはいつの時代も同じよねぇ……)紅緒と少尉の場面。
なんだよもう~! 見ているこっちが恥ずかしいじゃないか~!
後ろで見ているあの女学生にまざりたかった(無理です)。

フィナーレ。
あきらから始まります。THE男役というスタンダートな歌唱指導、ありがとうございます。
お衣装もよく似合っていました。

そこからモダンガールズ。
ほぼ女の子だけで構成されたダンスシーンに感動。
ひらめちゃん、くりすちゃん、りりかちゃん、うららちゃん、圧巻でした。すばらしい。

ラインダンスは「そうきたか!」という感じ。
近年まれにみる露出の少ないお衣装。
三段スカートは踊りにくかろう、胸元の大きなリボンはちと余分な気もするが、みんなはいからさんでした。
あわちゃんが可愛い。見つけられてよかった。

群舞は軍服ヴァージョンでした。
少尉はあの後、軍に復帰して、近衛隊に配属されるから、そのお衣装かな?とも思ったけれども、いくらなんでも派手すぎるな。
きっとロシアの銀色の雪景色をイメージしたのでしょう。音楽もラフマニノフでした。

デュエットダンスは最高でしたね。結婚式でしたね。おそろいの指輪とか! もう! 幸せになりなさいよ!
紅緒がちょっと先を歩いて、それを少尉がひきとめて、くるって、なんだよ……可愛いじゃないか……。
真っ白なのも素敵だし、華ちゃんがブーツなのも最高だわ。帽子もかわいかった。
溢れだす多幸感。ホント、そのまま結婚してください。頼む。

エトワールのくり寿ちゃん。とても素敵でした。最高だな。
みんなが自分のキャラクターに合った小物をシャンシャンの代わりに持って出てくる演出が素敵でした。
大階段で竹刀を振り回すヒロイン、最高だな。
まいてぃファンが生きているかどうか心底心配になるくらい胸の襟が開いていましたが、いかがでしょうか。
私でさえ、危なかったわ。

そんなわけで楽しかったです。ありがとう、宝塚。ありがとう楽天TV。
みなさんの安全と健康を心からお祈りいたします。