ゆきこの部屋

宝塚やミュージカル、古典文学など好きなものについて語るところ。

外部『ポーの一族』感想

ミュージカル・ゴシック『ポーの一族

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原作/萩尾望都ポーの一族』(小学館「フラワーコミックス」刊)
脚本・演出/小池修一郎宝塚歌劇団
主演/明日海りお

宝塚版も見に行きましたが、今回は、まず幕が違うというところがおもしろいなと思いました。
開演前、席について驚いたのです。
舞台の幕というのは上下で開閉する布というイメージが強いですが、今回は左右に動くプラスチックの板?か何かでしょうか。
しかも切れ目がまっすぐではなくて、なんだかゴツゴツした感じの創りになっていて、上手に2枚、下手に2枚でなんとか舞台全体を隠している形でした。
斬新だなあ、新しいなあ、おしゃれだなあと思いながら見ていました。
開演前は薔薇の映像が映し出されていましたが、芝居中はいろいろな映像に変わっていました。
いかにも「ミュージカル・ゴシック」という感じでしたね。
せっかく外部でやるんだもの。やっぱり宝塚と違うものを見たい。
そういう期待に応えてくれる幕でした。

生オーケストラも久しぶりで良かったです。
開演前や幕間に練習しているのが聞こえて、そうそうこれが普通だったんだよ。
自由に練習している音をBGMにプログラムで予習するのが常だったんだよ、となんだか日常に戻った気分でした。
見に来ているのは「ミュージカル・ゴシック」なのにw
宝塚にも早くオーケストラが戻って来るといいのですけれども、今度の星組『ロミジュリ』も録音のようですね。

エドガーのみりお(明日海りお)は、宝塚版で『ポーの一族』を上演していた頃も、そりゃ痩せていましたが、今回はなんだかそれよりも痩せてしまっているように見えてしまい……大丈夫なのでしょうか。
みりおも外食、していないのかな。
もっとお肉食べて欲しいな。
もちろん相変わらずの歌唱力、演技力には全く問題がないし、文句もないのですが、頬が痩せこけているように見えるのが始終気になりました。

私がとにかくよかったと思うのはかなめさん(涼風真世)です。
なんといっても宝塚で初めてできたご贔屓ですからね!(まだほんの子供でしたがw)
還暦過ぎてもあの歌唱力って化け物だな。
宝塚でも四季でも歌唱力に定評がある人が、年齢とともに筋肉の衰えでしょうか、次第に元気がなくなっていく様子は今まで何人もみてきましたが、かなめさんは違う。
びっくりする。どこから声が出ているの?って感じ。
みんなで歌う曲も、一人だけ違う歌詞、メロディーで歌っていても、ちゃんとわかる。
これ、相当すごいことだと思います。
プロローグからひっくり返るかと思いました。

老ハンナ、とても素敵でした。
さおた組長(高翔みず希)の老ハンナも好きでしたが、かなめさんの老ハンナもまた違った風体であり、大変すばらしかったです。
声がだいぶ低いようでしたね。プログラムにもそういう指示があったらしいことが書いてありました。
とにかく圧巻だった。右に出る者はいない。役者だわ~。
キング・ポーの福井晶一さんもすばらしかったですが、これはやはり山口祐一郎で見たかったなという気がいたします。
『貴婦人の訪問』コンビの山口・涼風が好きすぎるんです、私!

かなめさんのエドガーも見てみたいなあ。古い『歌劇』は母親のところにあるはずだけど、もう捨ててしまった可能性が高いですし。淋しい。
かなめエドガー、ゆりちゃん(天海祐希)のアラン、のんちゃん(久世星佳)のポーツネル男爵ってよくないですか? みつえちゃん(若央りさ)がクリフォードです!
この場合よしこ(麻乃佳世)はシーラというよりもメリーベルでしょうか。
シーラは紫ともも捨てがたいですが、羽根千里も見て見たいです。
ジェインは朝凪鈴、マーゴットは上のお二方のどちらか、という感じでしょうか。
私はもうなんだか見た気さえしてきました。

かなめさんのもう一つのお役であるマダム・ブラヴァツキーはもはや怪演の域。
最初に出てきたビジュアルにも驚かされましたが(お腹周りに何か入れているのかな?)、顔の輪郭をゆがめてるにもかかわらず、ちゃんと声が通るんだよー! すごーい!
乃木坂のジェインにはぜひ見習ってほしい(清楚で気弱な感じは出ていたのですが、あれは演技なのですかね……?)。

顔の輪郭が何か、こうとにかく歪んで見えたので、てっきり口の中に何かいれているのかと思ったんですけれども、声を聴いている限りはそうではない様子。
だからただ単純に顎をひいているだけなのかもしれないですけれども、見た目は老ハンナと同一人物には見えないなあと思いました。
そして1幕終わりには老ハンナに戻っていたので、着替え、化粧の速さも求められるからあんまり手の込んだことはできないのだろうけれども、それにしてもすごい変わりようだった。
ブラボー!

レイチェルせーこ(純矢ちとせ)もすばらしかったです。
1幕に1回しか出てこないのがもったいないくらいでした。
2幕はもう少し出番がありましたが、なんだかちょっともったいないような気もしたくらいです。
もっとせーこが見たかったよおおおお!
じゅりあ(花野じゅりあ)のレイチェルも素敵でしたが、せーこも最高でした。絶品!

あーちゃん(綺咲愛里)メリーベルは、すごい可愛い髪形で、左右それぞれに薔薇のモチーフでしょうか、三つ編みしたらしき髪をくるくると巻きつけているようですが、その上からさらにリボンだったりヘッドドレスだったりがくっつくので、かわいらしさてんこもりでもう大変!
かわいい丼みたいな感じだった。もうやめて! かわいいはお腹に入らないわよ!って感じ。
あの金髪がまた似合うのよね、彼女……すごい。
みりおエドガーとあーちゃんメリーベルの二人の場面は、そりゃもうまんま宝塚でしたよ。
まさかこんな耽美な場面に出合えるなんて……という感じ。
華ちゃんメリーベルと並んで、双子やってほしい。

話の流れはおおむね宝塚版を踏襲していましたが、メリーベルは曲が増えていましたね。
ユーシスが亡くなった場面の後にソロ曲がありました。
ユーシスが亡くなった悲しいという歌ではなく、エドガーが恋しいという歌詞で驚きました。それでいいんかい、それでいいのよね。現実にはいないタイプですものね。
オズワルドは、まあ現実にてもおかしくはないかな。

ユーシスは生身の男性が演じるには少し無理があるのかもしれないな、と思いました。
あのはかなげな少年、目がうつろで、でも美しくて、現実に足が付いているのかついていないのか、ちょっと危うい感じって、なかなかでないものね。
もしかしたら少年だったらできるのかもしれませんが、ユーシスは少年という年頃でもないですし、難しいところです。

アンサンブルはレダ役の七瀬りりこさんは本当にどこにいても歌声がわかる。
神から授かったものに違いない。
美麗たんもどこにいてもわかるあの身長の高さ! スタイルのよさ! 町娘でもすぐわかる。
オープニングのドレスも素敵でしたけれども、ホテルのドレスの仕立て屋のお衣装もすばらしかったです。
ブルーと紫で大人な感じですが、リボンもついていて愛らしかった。
今回は台詞もありましたね。

しかしドレスを着為れていないアンサンブルの方もいらっしゃるのでしょうか。
後ろの階段を上る際、ドレスをもちあげるのは良いのですが、せめて後ろを向いてからもちあげてくれ~!
客席をむいたままガッ!ともちあげている人がいて、きゃー!という感じでした。
マダムの役どころだったと思うのですが、品がなくてよ、マダム。

ねねちゃん(夢咲ねね)のシーラが個人的にはいまいちだったのですが、これはもうねねちゃんがどうこうというよりは、ゆきちゃん(仙名彩世)のシーラが完璧だったということでしょうね。
あれは本当にすばらしかった、最高だった。歌とか物腰とか台詞の言い方とか。
ゆきちゃんのシーラが始終恋しかった。
あの完成度は高かったもんなー本当に。
ねねちゃんも雰囲気は良かったです。

マーゴットもいまいちピンと来なかったのですが、これは宝塚のしろきみちゃん(城妃美怜)のマーゴットが好きというのもありますが、そもそも原作のマーゴットが好きすぎるという問題もあるかと(笑)。
妹と弟がいなくなったせいで、マーゴットをちゃかす存在がいなくなったのも大きいかもしれません。
なんせ、私、万が一自分が演じるなら絶対にマーゴットがいいからなあ……シーラやメリーベルではない。

ユーシスのところで生身の男性が演じるのは難しいと思ったのですが、そういえばセントウィンザーの制服も、生身の男性が着こなすのは難しいファッションなんですね、きっと。
宝塚版を見たときは何の違和感もなかったのですが、今回は「ん?」と思うことが多くて。
その中で、もちろんエドガーは着こなしているので、余計に違いが目立つなと思いました。
よく見ると、おそらくベルトの位置がエドガーと他の生徒では違うんですね。
エドガーの方がちょっと高い。
ベルトから下のボタンがエドガーは3つ見えるのに、他の生徒たちは2つしか見えない。
ただ生身の男性のベルトの位置を高くすると、またちょっと違う感じになってしまうんだろうなあということは容易に予想がつく。
難しいな……。

最後のドイツのギムナジウムの衣装は宝塚版では緑でしたが、今回は青になっていました。
緑よりも青の方が似合う人、多そうですものね。
バスケットボールのように見えるもので、サッカーのようなことをしていたと思いますが、下手奥の男の子はいつも蹴り損ねる。芸が細かいなあ。
男性アンサンブルの跳躍力にひたすら驚いてばかりでした。
ここのギムナジウムの生徒もそうですし、セントウィンザーの生徒およく跳ねていました。
学生たちが飛び跳ねるのはわかるのですが、ホテルマンやエドガーの影(白いブラウスが紫になっていましたね)までもがよく跳ねる。
しかしあれだけの跳躍力があれば、そりゃ跳ばせたい気持ちにもなる。
羽が生えているのかと思うほど。

千葉雄大が演じたアランは、初めてのミュージカルにもかかわらず、れいちゃん(柚香光)の物まねになっていないところはすごかった。
まだまだ今から進化していくでしょう。
個人的にもっとも足りなかったなーと思ったのは、ラストの場面です。
アランが人間でない場面はここしかないのですが、れいちゃんは「エドガー!」の一言だけで、あとは佇まいだけで「もうすでに人間ではないこと」を十分に表現できていたと思うのですが、ちばアランはそこがいまいちで、個人的にはもうちょっと頑張ってほしい場面でした。
御園座で進化した姿を見られることを祈っております。

アランといえば、エドガーと一緒に家を出ていく場面。
まずはお衣装が変わっていましたね。
宝塚版ではエドガーがシルバーのブラウスに黒リボン、アランがゴールドのブラウスに黒リボンだったのが、今回は、エドガーが白ブラウスにベロアの紫リボン、アランがグレーブラウス黒リボンでした。
役者が変わりますから、衣装が変わるのは納得です。
エドガーもベルベットの緑がボルドーに変わっていましたね。

ところでアランは、執事が「ハロルド様は生きていらっしゃいますー!」と聞いてから出て行ったのか、もしかしたら自分は人殺しかもしれないと思ったまま出て行ったのか。
ここ、結構大事なポイントだと思うのですが、今回は後者でした。
宝塚版は前者だったような気もしますが、どうだったでしょうか。
原作も確認してみる必要がありそうです。
伯父が生きていることに安心して、もう未練はないと考えて、ポーの一族に加わったという流れの方が私は好きだなと思いました。
このあとゴンドラに乗るのですが、上下するだけなので、ゴンドラ感はなかったかな……。

はしふぉーども(中村橋之助)はちょっとまだ固かったかな。
もうちょっと柔らかくなるといいのだけれども。
クリフォードのおおらかさみたいなのがもう少し個人的には欲しい。
ミュージカル発声ではないけれども、ちゃんと聞こえるからまあよしとします。

カテコのみりおさん。
「ありがとうございます。今日はライブ配信ということで……(きょろきょろ)あれの向こうの方、見えてらっしゃいますか〜?」
おそらく「画面」という言葉が出てこなかったのかと思われますが、「あれ」と言いました笑。
拍手のパン!パンパンパン!もやりました。
「みなさん息ぴったりですごい」鍛えられていますからー^^
その他、「じゅんばんこに退場してください」とな。
規制退場のアナウンス、もはやみりおが案内した方が良かったのでは?と思うくらいには自由退場でしたが、最近の宝塚よりはマシだったかな。
「ガラガラも忘れずに」と。ガラガラとうがいのことを言っていると思われますが、動作は手洗いのようにも見え、一度で「手洗い・うがい」の大切さを知らしめるこのすばらしさよ!(単なるボケとは言わない)
ライブ配信が23日もあるので「おかわり」してください、と2回目のことを「おかわり」と言ったり自由人でした。
しかし、そもそも花組ポーの一族』の千秋楽のときも「エドガーに会えなくて寂しくなるかもしれませんが、その気持ちは自分でどうにかしてください」(大意)とのたまっておりましたので、昔から自由人だったことを再認識しました。

ところで幕間客席。
マスクをしつつも周りにはっきり聞こえる声で公演について力説している客がいました。
スタッフに直接「お話は控えてください」と注意されたにもかかわらず、その直後にまた同じテンションで話し始めて、続けて注意されていました。
ようやくそれで黙ったけれども、マスクは鼻が隠れていないし、なんで見にきたのだろうって感じで、なんだかなあと……。
せめて一度目の注意で聞いてくれないかね。

今後もまだまだ気を引き締めていかなければならないと思いますが、感染症対策をしっかり行った上で観劇したいと思いました。